「エンタに出たい!?」寄席の大御所にもショートネタブーム
#テレビ #お笑い
『エンタの神様』以降、『レッドカーペット』『あらびき団』など、ますますショートネタが隆盛を極めている昨今。
そんな現状が、伝統芸能にも影響を及ぼしているという危機について語られたのは、12月22日放送分の『やりすぎコージースペシャル』の「やりすぎFBI2008~大捜査報告会SP~」だった。
芸能界でとびかう信じられない噂や疑惑を解明する企画のなか、ナイツの塙が語った報告は、こんな内容だった。
「いま、ショートネタブームの影響から、ベテラン芸人や師匠たちまでもが『エンタに出たい』と言い、ショートネタをするようになっている。これは伝統芸能の崩壊ではないだろうか」
その例として紹介されたのは、ナイツの先輩であり、ベテラン芸人の「ビックボーイズ」。オリラジを意識しているらしいとされる「お笑いラップ」が流れたが……。
「○△たまらんぜ♪×○△たまらんぜ~♪」
なんだか物悲しくって、切ない内容である。さらに、にしおかすみこのトークそっくりの「SMマジシャン」なども紹介された。
この「FBI」企画は、もちろんネタではあるのだけれど、それにしても、本当にベテラン芸人さんたちがこぞってショートネタに乗り出してきているの? 伝統芸能への影響は?
浅草演芸ホールに問い合わせてみると……。
「こちらは落語中心ですので、時間の制限があるテレビとはまったく違います。寄席の場合、15分、30分といった持ち時間を自分の持ちネタで持たせる腕がなければ、高座にはあがれませんから」
また、社団法人漫才協会は近年の傾向についてこう話す。
「寄席や伝統的な笑いの場からショートネタになっているわけではありません。逆に、ショートネタで著名な人をマネする芸人もいますが、そのへんはちょっと、ネタといっていいものかどうか……(苦笑)。大人のお客さんが集まる場でショートネタを目にすることも最近はときどきありますが、そういったものにはブーイングが起こるのもあちこちで目にしています。ショートネタがこの先、ずっと生きていくかはわかりませんが、伝統芸能になりかわることはありえないですよ」
また、「ボーイズバラエティ協会」事務局は、こんな指摘をする。
「ショートネタブームの影響というより、本来、楽器を使って、しゃべりで入ってくるのは、昭和生まれの『ボーイズ芸』そのもので、むしろこっちが先くらい。お笑いは江戸時代から存在していますが、実は時代時代でグルグルまわっているだけで、いつも同じことの繰り返しなんですよ」
つまり、今の「ショートネタブーム」も、常に繰り返しているお笑いの流行のサイクルの1つに過ぎないということだ。
「今のお客さんたちはテレビの笑いに慣れすぎていて、30分もの芸は聞いてられないんです。そこで、師匠クラスも短いネタをやったりしますが、今の流行の芸人をマネしているわけではなく、お客さんにあわせてネタを切り替えているだけ。師匠クラスは長いものもできれば、短いものもできますが、その逆として、今の流行の芸人さんが30~40分もたせられるかというと、長いものはできない人がほとんどだと思いますよ」
つまり、ショートネタ芸人たちとベテラン芸人とでは、引き出しの数が全く違うため、ベテラン芸人がテレビでショートネタをすることはできても、その逆はないということ。
「伝統芸能の危機」というよりも、実際には、やっぱり近年の流行のショートネタ芸人の行く末が危機ということなのだろうか。
浅草で育ちました。
【関連記事】 M-1決勝出場「北関東の星」U字工事が急成長を遂げた理由
【関連記事】 「手数」と「スピード」の時代 NON STYLEが優勝した理由
【関連記事】 前回王者サンドウィッチマンに聞く『M-1必勝法』はコレだ!!
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事