先行レビュー「マドンナ暴露本」日本語版のスゴい中身
#海外 #マドンナ #暴露本
80年代に『ライク・ア・ヴァージン』の大ヒットで一躍トップアーティストに登りつめたマドンナ。50歳を迎えた今年も8回目のワールドツアーを成功させ、ヤンキースのA・ロッドとの不倫疑惑など、セックスシンボルとしても変わらず現役で活躍中だ。
その世界の歌姫のセックスライフやドラッグスキャンダルなどを実弟が描いた暴露本『姉マドンナとの生活(Life with My Sister Madonna)』が6月に全米で発売されて話題となったが、このほどアメリカ以外の13カ国でも翻訳されることが決定。日本でも大手3社による”争奪戦”の結果、ぶんか社(千代田区)が権利を獲得。この12月20日に全国で発売される。
執筆はマドンナの元スタイリストで、衣装デザインやコンサートのディレクションもしていた実弟のクリストファー・チコーネ。ゲイで知られる彼がマドンナと極貧時代を過ごし、共に仕事をしながら見てきたマドンナの赤裸々なプライバシーがこの本のコア。チコーネ所蔵によるスナップ写真もアルバム風に並べられ、整形説が根強いマドンナの今と、若かりし頃の顔とを比較するのも一興だ。
執筆についてはチコーネからの聞き取りをイギリス人ジャーナリストのウェンディ・リーがゴーストライターとして書いたとも言われており、表向きは2人の共著という形。執筆料は不明だが、初版35万部という数字とネームバリューからみて、莫大な前払い金がチコーネに渡ったといわれている。
ちなみに共著をしたリー氏はライザ・ミネリやグレース・ケリーの伝記を執筆したことでも知られる著名な書き手。原書を読んだ日本人翻訳家によれば、「サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を思わせるなかなか味のある英文。ゴシップ性だけでなく読ませる回顧録という印象」。それを受けてぶんか社も翻訳には力を入れたようで、500ページ近いボリュームを飽きさせずに読ませることが、売れ行きを左右する一つの鍵となりそうだ。
さて、気になる中身。発売前に入手した現物を見て目につくのが、先頃マドンナとの離婚が成立した映画監督のガイ・リッチーへの恨み節。この義兄弟の不仲は尋常ではなかったようで、マドンナとリッチーの結婚以来、チコーネへのギャラ支払いは完全にストップ。その恨みが暴露本出版の導火線となったことはあきらかだ。
この写真から検証してみると……。
リッチーより早くマドンナと結婚し、たびたび暴力事件を起こして離婚させられた俳優、ショーン・ペン。86年に夫婦で出演した映画『上海サプライズ』がボロボロにけなされて大コケ。これについては、マドンナとペンが監督らスタッフを無視して映画作りを勝手に進めてしまい、失敗すると口汚く罵りあうトホホな様子が辛辣に書かれている。チコーネは義兄ペンと「本物の兄弟になろう」と誓いあい、指をナイフで切って血を押しつけあう時期もあったようだが、総じてその”へタレさ”加減を見下していたと告白。ついに絶縁寸前となったとき、元ビートルズのジョージ・ハリスンが仲をとりもったという。
恋多きマドンナは、バスケットボール界最大の変人と言われたデニス・ロッドマンとも浮名を流したが、これについてはマドンナの方がロッドマンにぞっこんでセックスをしたがっていたが、ロッドマンからはまるで相手にされなかったとチコーネは書いている。
その他にも、コンサート前はいつもぶるぶると震えているほどナーバスでありながら、ボイストレーニングを普段から怠けてしないがために年々声がへたってきたという、アーティストとしてはある意味致命的な話や、マリファナやエクスタシーと呼ばれるドラッグでラリっていた様子、さらには彼女の初めてのセックス相手の話など、47年間一緒に暮らしてきた肉親が見た”リアル・マドンナ”が克明に描かれている。
この本が6月に全米で発売された時にマドンナが受けた精神的ダメージは相当なものだったという。8月に控えていたワールドツアーやリッチーとの離婚騒動、A・ロッドとの不倫疑惑、そこへきての身内による暴露本騒動。心身共にボロボロだったマドンナにとって、心酔するカバラ教も役に立たなかっただろうと、当時のアメリカのタブロイド各紙は報じている。巻末には二人が和解したと思わせる表記があるものの、出版を境に姉弟は再び絶縁状態に。それが即ち、書かれている内容の深刻さを表しているともいえるだろう。
一方で、ピークをとうに過ぎたマドンナのカリスマ性に疑問視する声があるのも事実。50歳になったマドンナのセックスライフを、今の日本人のどれほどが覗き見してみたいと考えているかは謎だ。いずれにしても世界中に翻訳が決定している今年最後で最大の暴露本。80~90年代に青春を生きた世代が当時をふり返りながら、年末年始にゆっくり読むにはちょうどいい本といえるかもしれない。
ラッカッブァーズィーン♪
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