『ゲゲゲの鬼太郎』バトルアニメ化に見る水木プロのメディア戦略
#テレビ #アニメ
日曜朝に放映中のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(フジテレビ)。萌えキャラに変貌をとげた猫娘についてはかつて本欄でも取り上げたのだが、アニメ本編の内容も、2年目に入り変化をとげている。一言でいえば、週刊少年ジャンプ系のような「バトルアニメ」化しているのである。
たとえば、11月16日放送分の「燃えろ! 小豆連合」という回。ねずみ男を中心に、妖怪が騒動を巻き起こし、それを鬼太郎親子と仲間たちで解決という基本フォーマットは変わっていない。しかし、妖怪あずき洗いがピンチに陥った鬼太郎を助けにはいったとき。
「オレの大事なモンを、守る!!」
両拳を腰の位置で握りしめ、絶叫する小豆あらい。あずき洗いって、電撃ネットワークの南部虎弾ヘアにボロ服の、「愛すべきしょぼくれキャラ」のような妖怪かと思うのだが、アナタ、そういうキャラの妖怪でしたか? おまけに、全身をケンシロウか悟空のようなオーラが覆い、空中高く舞い上がり小豆を気功弾のように撃ったり、パンチしたり。そして、
「オレの力のすべて、鬼太郎に届いてくれ! 頼む!!」
と、パワーを鬼太郎に伝達。仲間の妖怪たちも、「私のパワーも使ってくれ」と続く。”元気玉”か。そして、鬼太郎は、「わぁーーーーっ!!」と、パワー全開。これには一緒に見ていた小2の娘も、「ドラゴンボールじゃん」と言っていた。
最後には、あずき洗いの背中に、紋章が浮かび上がる。今年に入ってから、全国の都道府県を代表とする妖怪「47士」を探すというのが大きなテーマになっていて(昔からいる妖怪が都道府県という行政区分で分けられているという野暮はさておき)、紋章はその証。小豆あらいは山梨県代表、その資格があるというわけだが(ぬりかべや子泣きじじいなどもすでに有資格)、これも「里見八犬伝」か「アストロ球団」かといった具合である。
主役の鬼太郎も、ゲタや髪の毛を飛ばす従来の技に加え、炎を操ったりするド派手な「イマ風」必殺技を取得したりしているのだが、どこにいくんだ、鬼太郎。
鬼太郎バトルアニメ化について、水木しげる作品について詳しい編集者は、こう言う。
「バトル化の傾向は、ますます強まっていますね。派手なバトルや演出がないと、今の子供には、受けが悪いんです。そうなると、オモチャやグッズ展開にも影響する。原作そのままの雰囲気だと、難しいんでしょうね」
別のホビー系の関係者はこう言う。
「ここ数年人気のあるカードバトルのゲームがありますが、たとえばそういう展開を考えたときに、属性のようなカテゴリーがきちんとしてると便利なんですよね。県代表かどうかとか、炎や雷などの技は、分かりやすくカテゴリー分けできますしね」
80年代にリメイクされたときにも、オカリナから出たオーラみたいなのをサーベルのように振り回して戦っていた鬼太郎。時代時代の要請にこたえていかないと、現代社会では生きづらいのだろうが、肝心の水木しげる先生は、この状況、どう思っているのだろうか。前出の編集者は言う。
「水木さんは、自分の書いたマンガが復刻されるときなんかには、ものすごくこだわるんですが、アニメに関しては、昔からおまかせというか、あまりこだわりがないみたいですね」
近年の積極的な展開については、こうみている。
「水木さんの娘さんが、水木プロダクションに入ったんですが、この人が、なかなかやり手で、メディア展開にも積極的だという話を聞きます。県の妖怪を選んでいるのも、地域に密着させるとか、新たな展開を考えているんじゃないでしょうか」
代表が揃ったら、次は、「妖怪甲子園編」に突入か。
(サイゾー公式携帯サイト「サイゾー裏チャンネル」より)
こちらは深夜帯でニッチを狙った『墓場』シリーズ。
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