空飛ぶガマ!? がっかりを楽しむB級スポット『ガマ洞窟』
#退屈巡礼
携帯ストラップなどの商品展開希望……のような気もしてきました。
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第五回は、筑波山の『ガマ洞窟』。今回もなかなか強烈です。(洞窟内の様子はこちらから)
日本各地いろんな名物・名産品があるものですが、たまに観光地などで「たしかに名産品かもしれないけど、それをメインでプッシュして本当に人が来るのか?」と余計な心配をしてしまうスポットってありますよね。まぁ、この連載コラムはそういった「豪快な空振り」を楽しもうという趣旨なのですが、今回紹介する筑波山の「ガマ洞窟」は、空振りなどという生易しいものではありませんでした。
名前からして当然ガマがメインなのはわかっているんですが、到着するといきなり山間に巨大なガマガエルの像! このインパクトはかなり想像の上でした。他にも大小さまざまなガマガエルのオブジェで飾り立てられ、まさに「奇景」言うべき状況。そもそも、たしかに「筑波のガマ油」は有名ですけど、筑波山に来る人のお目当ては今のシーズンなら紅葉だとか、どちらかといえば四季折々の景色のような気がするんですが……。ある日突然「ガマ油ダイエット」なんてものが流行でもしない限り、わざわざガマ油のためにここまで来る人がいるとは正直思えません。あぁ、たまたま来た人も駐車場でUターンして帰っていくよ! まぁ、残念ながらそれがマトモな反応でしょうか。
で、好奇心旺盛な人のみが奇景に近寄っていくワケですが、一歩近寄るごとに増していくチープ感、そして「筑波名所」「おもしろ……ビックリ!」「今見れば納得」など、必死な誘い文句の空回りっぷりにある種の期待感が高まっていきます(そうでない人は、とっくに帰っているはず)。
さて、問題の「ガマ洞窟」ですが……結論から言えば「洞窟ですらない!」というシロモノ。売店で500円の入場料を払ったときの「いいんですか?」的な反応が気にはなっていましたが、入口からしてレトロな玉すだれにベゴニアの鉢植えと天狗のお面というディスプレイ……洞窟というよりは、誰かの実家の玄関みたいです。そして暗闇に足を踏み入れると、そこはゴミ……いや、リサイクル率100%の、地球に優しいお化け屋敷。しかも唐突に「願掛けイノシシ」があったりもするカオス空間です。さらに闇に目が慣れたので周りを見てみると、どう見ても売店の裏と岩壁の隙間だよココ! 洞窟でも何でもない、手作りトンネルでした。どうか今、大きな地震が来ませんように!と、祈らずにはいられません。
こんな調子でうっかり「何をしに来たんだっけ?」ということすら忘れた頃に、たしかにいましたよ巨大ガマ……のハリボテ。たった500円でここまでがっかりできるのは、逆に超貴重な体験な気がしてきました。他にも奇跡的ながっかり感と脱力感のコンボが洞窟の中にも外にもゴロゴロしているので、何かとがっかりすることが多いこのご時世、がっかりを楽しめるように心を鍛えに行くといいと思いますよ。もちろん、B級・珍スポット好きの方にはたいへんオススメです。
きた一般の観光客はかなり引き気味。
人生も変わってくることでしょう。たぶん。
どうやらガマ洞窟の正体の模様。おばけはどんどん新作が
投入されているようです。
売店の屋根にもガマ。説明によると「日本ではじめて空を
とんだガマ」らしいですが、よく意味がわからな……いや、
考えたら負けです!
●ご利用の心得
・「景観破壊だ!」などと無粋なことは言わない。
・せっかくここまで来たなら、見ずに帰らないで!
・がっかりの楽しみ方を身につけて、今後の人生に役立てよう!
●あまり親切でないご利用案内
■営業時間 午前9時から午後5時ぐらい
(アバウトなのでギリギリに行かない方がいいかも)
■休業日 12月、2月、9月の木曜日
■料金 大人(中学生以上)500円/小人200円
■住所 茨城県つくば市筑波山つつじヶ丘
■アクセス 車・バイクの場合、つくばスカイラインをつつじヶ丘ドライブイン目指してひたすら走行。今回、最寄り駅はありません。徒歩で行くのは、残念ながらほぼ無理だと思います。
※公式HPはありません
(取材・文/大黒秀一)
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