なぜ今Wink!? 『淋しい熱帯魚』カバーが続々リリースのワケ
#音楽 #インタビュー
突然ですが、あなたはWinkのヒット曲『淋しい熱帯魚』を覚えていますか? 人形のように無表情な2人が歌う「Heart on wave~♪」というサビのメロディーが、頭に焼き付いて離れないという人も多いのではないでしょうか。
実は今、この曲のカバーソングが3タイトルも相次いでリリースされ、ちょっとした話題を呼んでいるんです。
今年10月8日にアニメ『テニスの王子様』のキャラクター・手塚国光&真田弦一郎名義で『淋しい熱帯魚』(T.Y.Entertainment)がリリースされたのを皮切りに、10月29日にはマンガ『ロザリオとバンパイア』から生まれた企画盤『ロザリオとバンパイアCAPU2 キャラクターソング4』(キングレコード)でも同曲がカバーされています。
そして11月5日には、フリッパーズ・ギターの再来と騒がれている渋谷系バンド「テトラプルトラップ」も新譜『淋しい熱帯魚/NANA』(新熊猫音盤/タワーレコード限定発売)で、同曲をカバーしていたのです。なんと、わずか1カ月の間に『淋しい熱帯魚』のカバー曲が立て続けに3曲もリリースされる、という事態が起こっています。
それにしても、なぜ今『淋しい熱帯魚』なのでしょうか?
その秘密を探るべく、カバーを出しているアーティストの1人であるテトラプルトラップの川島蹴太氏を直撃してみることにしました。ちなみに川島氏は現在、中国・上海を拠点に音楽活動を行っており、今回は新曲プロモーションのために来日を果たしていました。
川島さんが『淋しい熱帯魚』をカバーしようと思ったきっかけは何だったんですか?
「中国人の友人の家にいるときに、何気なくYouTubeで昔のJ-POPの映像を見ていたんですよ。そうしたら、Winkの『淋しい熱帯魚』が流れ始めたときに『これは中国の曲なのに、なんで日本人が歌っているんだ?』って言われたんです。それで『エッ!?』と思って。話を聞いてみたら、そこの家族全員が知っているくらい、中国では有名な曲だということがわかったんです。台湾で昔とても人気があった『小虎隊』っていう男性3人組のアイドルグループがいて。その人たちが『淋しい熱帯魚』の中国語版カバーを出していたんですね。ただ、どうやら中国ではこの曲が日本の楽曲のカバーであることは伝わってなくて、完全に中国の楽曲であると思われている感じだったんです。最初はそんな経緯からこの曲に興味を持ったんです」
それにしても、なぜ今この曲のカバーがブームになっているのでしょうか?
「それはたぶん、Winkの持つ魅力でしょうね。Winkって、今振り返ってみるとPerfumeと重なるところがいくつもあると思うんですよ。特に、無表情で歌って踊るアイドルユニットで音楽性も高い、というところが共通している。Winkの方も、あの時代に例えばカイリー・ミノーグなどの洋楽を積極的にカバーしていたりして、当時としては音楽的にも評価が高かったはずなんです」
WinkとPerfumeが似ているとは、意外ですね!
「あと、アイドル氷河期から出てきて唯一ブレイクした存在である、っていうのも重なるところがあります。Perfumeがブレイクしている今だからこそWinkが再評価されている、という流れがあるような気がしますね」
ちなみに川島さんは、Winkに対しては「渋谷系」としての個人的な思い入れもあるのだとか。
「そうそう。Winkを手がけていたレコード会社のポリスターって、フリッパーズ・ギターを初めとする渋谷系の黄金時代を築いたすばらしい会社なんですよ。ポリスターは、Winkがヒットして儲かったお金を使って、フリッパーズの海外でのレコーディングやPV撮影をしていた、っていう経緯もあるくらいで。Winkがいなければフリッパーズもなかったのでは、とも言われているんです。そういう意味で、僕が今『淋しい熱帯魚』をカバーするというのは、渋谷系を代表してWinkに恩返しをする、という意味合いもあるんですよね。まあ、向こうにしてみたら余計なお世話だとは思うんですが(笑)」
最後に、川島さんの今後の活動予定について教えてください。
「今、中国出身の女の子をプロデュースする計画を準備中です。この子に『上海は夜の6時』っていう曲を歌ってもらおうと思っているんです。東京と上海との時差がちょうど1時間ということで。僕自身は中国に住みながら、遠隔操作で日本にいる中国人アイドルをプロデュースする、っていうのが面白いんじゃないかな、と。そういう形で日中文化交流の新しい歴史を作っていきたいですね」
Winkのカバーでアイドルソングの魅力に目覚めた川島氏が、次に手がける中国人アイドルのプロデュースとはどんなものになるのか? 気になるところです。
(取材/ラリー遠田)
名曲。
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