予選は吉本&作家の思惑次第 M−1はやっぱり出来レース!?
#テレビ #お笑い
ウィッチマンが優勝するという大波乱が起こった。
01年に漫才日本一を決めるお笑いコンテスト「M-1グランプリ(以下、M-1/吉本興業主催・朝日放送制作)」が始まって以来、大規模なお笑いコンテストに多くの注目が集まっている。02年に始まったピン芸人の祭典「R-1ぐらんぷり(以下、R-1/R-1ぐらんぷり事務局主催・関西テレビ制作)」に続いて、今年はコント日本一を決める「キングオブコント(以下、KOC/KOC事務局、TBSなどが主催・TBS制作)」も開催されたのは周知の通りだ。
これらのコンテストは、「ガチンコ勝負」を標榜しており、優勝すれば1000万円(R-1は500万円)という非常に大きな賞金が与えられる。また、目立った活躍をすれば業界内外から脚光を浴び、飛躍的に仕事が増えるといわれている。それだけに、出場する芸人たちも真剣になるわけだが、各大会の幕が閉じるたびに、その審査体制・基準に多くの疑問が投げかけられている。テレビで放送され、審査員の顔が見える各大会の決勝戦の審査はともかく、そこに至るまでの予選審査については、審査基準が曖昧で八百長や出来レースが横行しているのではないか、という話がしばしば聞こえてくる。そこで、関係者などへの取材を通して、審査の実態についてあらためて検証してみたい。
●松本と高須が漏らしたKOC予選審査の不透明性
今年の9月8日にKOCの決勝進出者が発表されたとき、お笑い業界関係者の間では驚きの声が上がった。準決勝進出者のうち、次長課長やFUJIWARAなど実力派として評価の高い多くの有名芸人が落選していた一方で、2700やチョコレートプラネットといった一般的には無名に近い若手芸人が何組か勝ち残っていたからだ。
もちろん、無名であっても、予選の場で面白いネタを披露して大きな笑いを獲得したのであれば、そういう芸人が勝ち残るのは当然のことだろう。だが、準決勝を生で観戦していた人たちの口からは「納得できない」などと次々に不満の声が飛び出したのである。
「特に大きな笑いが起きていたわけでもないコンビが決勝に進出したと聞いたときは驚きました。審査の基準がよくわからない、というのが正直な感想です」(準決勝の観覧客)
さらに、それだけではない。予選審査員の1人である放送作家の高須光聖は、松本人志と共にMCを務めているラジオ番組『放送室』(TOKYO-FM)にて、KOCの審査についてこんな発言を残している。
松本「これ、あなた(高須)とか長谷川(朝二/放送作家)とかが決めたんですよ。この8組」
高須「まあ、僕らだけじゃないですけどね。皆さんたくさんいましたけどね」
松本「何人ぐらいで決めたの、これ?」
高須「おった人間はぎょうさんおるよな。十数人ぐらいで、みんなでどれがええか投票して決まったんですよ」
ところが、準決勝の予選審査員として正式に公表されていたのは、高須を含めて5人しかいないはずなのだ。ここで高須は、審査員として顔も名前も出していない人間が審査に関与していたことを、漏らしているのである。
もちろん、このことからただちに「不正審査があった」という結論を導くことはできない。だがいずれにせよ、状況証拠から判断する限り、なんらかの不透明な審査が行われていたという疑惑は拭えないだろう。
一方、関西を中心に活躍するお笑い系放送作家は、KOCの予選審査についてこう語る。
「予選審査員の中に、バッファロー吾郎と関係の深い放送作家が少なくとも2人いました。彼らが予選でバッファローを落とすということはまずありえない。というのも、特定の芸人の座付き作家にとっては、その芸人が今より売れるか売れないかは死活問題だからです。優勝できるかどうかはともかく、決勝まではほぼ確実に勝ち上がるというシナリオができていたと考えても不思議ではないでしょう」
また、芸人同士が審査するという決勝戦の審査システムにそもそも問題があったのではないか、という声も根強い。実際、最終決戦でバナナマンとバッファロー吾郎のどちらかを選ぶ場面になったとき、吉本興業所属の芸人3組は、同じ事務所の先輩であるバッファロー吾郎に1票を投じた。このおかしな審査システムのせいで、いかにも出来レースめいた空気が出来上がってしまったことは紛れもない事実である。仮に出来レースでないとしても、不要な憶測を招いてしまう可能性を考慮していなかったとすれば、制作をしているTBSの致命的なミスであろう。
●M-1のシナリオを暴露? 西川のりおの爆弾発言
では次に、もはや年の瀬の恒例行事となったM-1に目を向けてみよう。昨年末の大会では、いつになく予選の審査基準に注目が集まることになった。ご記憶の方も多いだろうが、一度は敗れて敗者復活戦から勝ち上がったサンドウィッチマンが、他の決勝進出者たちをごぼう抜きにして見事優勝を飾ったからである。この出来事は業界内にも大きな衝撃をもたらしたようだ。吉本興業関係者はこのように語る。
「サンドウィッチマンが優勝したとき、吉本興業の若手社員たちからも拍手喝采が上がりました。というのも、吉本の内部でも、準決勝までの予選審査に対する不信感は強かったからです。生放送時、サンドウィッチマンのネタを見た決勝審査員のオール巨人師匠は『なんで彼らが決勝のこの舞台に敗者復活でなしに残ってないのかな……』と発言しました。つまり、予選審査の基準のおかしさを暗に批判していたというわけです」
もともと注目度の高いお笑いコンテストであるM-1では、予選審査の不透明性についてはいろいろな噂があった。昨年のM-1決勝開催直前には、西川のりおが関西ローカルのラジオ番組でこんな発言をしていた。
「今年はキングコングが優勝だと決まっている。トップの谷さん(谷良一/M-1創設時のプロデューサー。現・株式会社よしもとファンダンゴ代表取締役)と、そんな会話を交わした。ネタが飛んで30秒くらい黙ってしまう、というくらいのミスがない限り絶対に優勝ですよ」
(続きは「サイゾー」12月号で/ラリー遠田)
痛快でした。
【関連記事】 「やらせ!?」TBS『リンカーン』ヲタ芸大会に批判の声が殺到
【関連記事】 爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」
【関連記事】 オリエンタルラジオ「華やかな挫折の先に」
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事