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「食べる」は「生きる」…チュート徳井主演『天国はまだ遠く』公開へ

tengokumain.jpg『天国はまだ遠く』/©2008『天国はまだ遠く』製作委員会
11月8日(土)シネセゾン渋谷ほか全国順次ロードショー 配給:東京テアトル

 加藤ローサと人気お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実という異色の組み合わせが共演する『天国はまだ遠く』が11月8日より公開される。

 映画は、瀬尾まいこの同名小説を、『夜のピクニック』『青空のゆくえ』など繊細な演出が定評のある長澤雅彦監督が映画化したもの。不器用で仕事にも恋にも疲れ、自殺を考えて田舎町にやってきたOLの千鶴(加藤)が、民宿を営む青年・田村(徳井)に出会う。田村の優しさと豊かな自然の中で千鶴は次第に癒されていき、再び前を向いて生きていこうという意思を取り戻していく。

 物語序盤、多量の睡眠薬を服用して眠りに落ちたが、なぜか死ぬことができずに目覚めてしまった千鶴が、田村の作る朝食のおいしそうな匂いに負け、無心に食べるシーンがある。食事は、長澤監督が「『かもめ食堂』に負けるな」を合言葉にこだわったところだそうで、実際に美味しそうなのだが、加藤ローサの食べっぷりもまた、実に見事なのである。「食べる」という行為は「生きる」ということを最も端的に表すもの。質素だが美味しそうな民宿のご飯を、モグモグパクパクと食べる千鶴の様子を見ていると、「ああ、この子はもう自殺とかしないだろうなぁ」と思わされ、(始まって早々だが)安心させられる。その後も、千鶴の身を案じた恋人がやってきたり、田村の暗い過去が明らかになったりはするのだが、大きな事件が起こるわけでもなく、千鶴と田村がベタベタとした恋愛関係に発展するでもなく、若手人気クラシックピアニスト・清塚信也が奏でるピアノの旋律に乗せ、宮津の美しい自然風景をたっぷりと見せながら、ゆるやかに時間が流れる。

 ちなみに、田村を演じる徳井は、これまでも演技経験はあるものの、ほぼでずっぱりの本作が本格的な演技デビューとなるそうだ。人気芸人を主演に据え……というのは、いかにも話題性を狙ったキャスティングと思わなくもないが、これが思いのほかはまっている。徳井といえば、イケメンだけどエロというキャラで人気だが、本作では素朴で物静かな青年に扮している。徳井自身がこの役について「素の自分に近くて演じやすかった。徳井にはこういう一面もあることを知ってほしい」と語っており、演技らしい演技というよりも、肩に力が入らない自然体という雰囲気。映画の舞台は、日本三景のひとつの天橋立で有名な京都府宮津市で、京都府出身の徳井にとってはいつもどおりの関西訛りの台詞もやりやすかったのかも。バラエティ番組などで見せる彼からお笑いの要素を抜き取ったら、きっとこんな青年なのだろうと想像させられる。

 映画は全体的に悲壮感や陰鬱とした空気もなく、自殺とか生き死にを語るにはきれいすぎるかもしれないが、そこはリアリティよりもファンタジー。斜に構えず素直に身をゆだねれば、気がつけば心地よい気持ちになり、フーッと肩の力が抜ける……そんなリラクゼーション的効果のある映画に仕上がっている。デートムービーというよりも、ひとりで見にいって癒されるのがいいかもしれない。
eiga.com編集部・浅香義明)

作品の詳細は以下より。
『天国はまだ遠く』
『夜のピクニック』
『青空のゆくえ』

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最終更新:2008/11/07 15:00
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