ユルいからこそ胸を打つ!?『関ヶ原ウォーランド』の反戦主張
#退屈巡礼
それよりも、周りの武将がどこ見てるのかさっぱり分からないのが気になってしまいまして……。
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第四回は、知る人ぞ知る”戦国テーマパーク”『関ヶ原ウォーランド』に行ってきました。(ランド内の様子はこちらから)
「戦争って超カッコイイよね!」だなんて人前で口走ろうものなら、おおよそひんしゅくをかいまくって人格を疑われるのがオチですよね。でもいくら「戦争反対」は当然のことだとは分かっていても、なにか戦いにロマンや憧れを感じてしまう人は少なくないんじゃないでしょうか。もちろん多くの人は、そこに描かれている人の生き様やドラマに惹かれるのであって、別に賛戦派だとか血の気が多いというワケではないと思いますが、それにしても戦いに憧れを感じてしまうのは「描かれ方がカッコイイから」に他ならないのではないでしょうか? もし武器や兵器のデザインが揃いも揃ってカッコ悪くて、どんくさい人しか登場せず、しかも全編気の抜けるような音楽しか流れていない、そんな戦争ものがあれば、最強の「反戦メッセージ」になるのでは……って、「そんなもんあるかー!」と言われそうですが、あります! 映画やドラマではありませんが、関ヶ原にある戦国テーマパーク「関ヶ原ウォーランド」がそれ。
本来はここ、関ヶ原の戦いを完全再現した戦国歴史ロマンあふれるテーマパーク……のハズなんですが、どちらかといえばB級テイストが一部で絶大な支持を得てしまったスポット。そもそも「関ヶ原ウォーランド」という名前だけでかなりの脱力感ですが、中身は想像をはるかに上回る破壊力でした。
まず入場すると、いきなりド演歌調の「♪粛々として~大軍夜に乗じゆく~」というフレーズが響きわたります。しかもエンドレスで。なんでも「あゝ決戦の関ヶ原」というオリジナルのテーマ曲(?)らしいのですが、園内のどこにいてもこれが聞こえるものですから、なんともユル~い雰囲気に。
そして眼前に広がるのは、関ヶ原合戦を再現した人形たち……なのですが、コンクリートにペンキ塗装という造りが、これまたユル~い気持ちを誘います。決してデタラメに造られているわけではなく、関ヶ原合戦の陣営を基に丁寧な仕事をされているのですが、なにせ戦国武将の造形がキャラ立ち過ぎ! もう、すべてを掲載したいぐらい味のある像が立ち並んでいます。しかし造りがユルいわりには、やっていることは殺し合い。油断していると生首を下げた人に遭遇したりもしますが、バックにはのどかに季節の花が咲き、どこからともなく聞こえる「あゝ決戦の関ヶ原」……やっぱりどうしても脱力してしまう!
とどめは武田信玄。関ヶ原より前に亡くなっているせいか戦場とは離れたところにいるのですが、「もう争いはやめい! ノーモア関ヶ原合戦じゃ!」のメッセージで完全ノックアウト。「ノーモア関ヶ原合戦」……いや、はからずも反戦のメッセージはしっかり受け取りましたよ。たしかにこの戦なら憧れる人は少ないかも……。そして何より、この脱力加減は世界平和に役立つ気がします。個人的には「イマジン」よりこっちの勝ち!
B級スポット好きの人にとっては神のような存在です。
あぁ、できることなら全部紹介したい!
のハズなんですが、どうも和んでしまう。
「バカボンド」と間違ってる人がいますが、この場合はどっちでもOKな気が。
ギョッとしました。隣の敷地は本物の墓場だし。
とばす武田信玄。たしかに戦争カッコ悪いです、お館さま!
●ご利用の心得
・戦国歴史ロマンを感じたいなら、想像力を鍛えておこう!
・合戦エピソードなど、関ヶ原の戦いは軽く学習しておくとより吉。
・コンクリート像は大切に! ツッコミは言葉だけにしておくこと。
●あまり親切でないご利用案内
営業時間:11月~3月/午前10時から午後4時30分
4月~10月/午前9時から午後5時
定休日:年末年始(12月30日~1月2日)のみ休業
料金:一般700円 小人400円 幼児200円
住所:岐阜県不破郡関ヶ原町大字関ヶ原1701-6
アクセス:名神高速・関ヶ原ICより国道365号直進、約5分。電車・徒歩の場合はJR東海道線・関ヶ原駅より徒歩30分ぐらい。
HP:ありません。
(取材・文/大黒秀一)
あまりにも有名な曲。
【関連記事】 【退屈巡礼】vol.03世界の中心で「発祥」を叫ぶ!? 愛知『桃太郎神社』の本気な主張
【関連記事】 【退屈巡礼】vol.02そこに未来はあるか!? 『リニア見学センター』の意外な現実
【関連記事】 【退屈巡礼】vol.01これじゃ破綻も必然?『私のしごと館』に行ってみた
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事