米・韓で賛否激論!『D-WARS』シム監督の尽きない野望
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モンスター映画が大好きなんです」と日本のファンに笑顔を振りまくシム・ヒョンレ監督。
初監督作『怪獣大決戦ヤンガリー』(99)も賛否両論となった怪作だったが……。
ここまで興行成績と作品の評価がまっぷたつに分かれると、逆に興味が湧いて仕方がない。噂のモンスター映画『D-WARS ディー・ウォーズ』が、ついに日本に上陸する。韓国出身のシム・ヒョンレ監督の第2作にあたる本作は、韓国で2007年に公開され850万人を動員、5000万ドルの興収を記録。さらに全米では2275館で公開され、週間興収成績5位に食い込む健闘を見せた。
しかしその一方で、ネット上では「CGI時代のエド・ウッド」「星ゼロ個」など、何とも辛辣なコメントが並んでいるではないか。特撮ヲタクが高じて、人気コメディアンから映画監督に転身したシム監督への関心は、ますます増すばかりである。映画評論なにするものぞ、とばかりに特撮映画先進国・日本にやって来たシム監督に、大いなる野望を語ってもらった。
日刊サイゾーでは、映画『D-WARS ディー・ウォーズ』の公開を記念して、「MA7 エイブラムスのミニフィギュア」を5名様にプレゼントさせていただきます。応募の詳細はこの記事の最下部をご覧ください。
11月29日(土)より、有楽町スバル座他全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/ネオ
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──『D-WARS』は世界中の誰が観ても楽しめる特撮ファンタジーですね。35億円もの製作費を集め、これだけの大作を完成させるには、さぞご苦労も多かったことかと思います。
「えぇ、米国では私のことを知っている人がいないので、まず信頼してもらうまでが大変でした。今までの韓国映画になかったダイナミックで世界中の人に喜んでもらえる映画を撮りたいという私の考えは、なかなか理解されませんでした。幸い、私のことを可愛がってくれている諸先輩がたに援助してもらい、プロジェクトが進行したのですが、その先輩たちも本当に私の映画が大ヒットするとは予想していなかったようです(笑)。私にはスピルバーグやルーカスのようなブランド力も人的ネットワークもないので、まずスタッフを集めるのと同時に、徹底的に米国でヒットした映画の傾向をリサーチしたんです。その結果、難しいストーリーはやめ、誰もが好むシンプルな勧善懲悪ものにしました。その上で、アジアの人間なら誰もが知っている龍をモチーフにした、今までにないリアルなモンスター映画にしたんです」
──全米2275館もの劇場で公開とは大変な快挙じゃないですか。
「ありがとう(笑)。米国には映画館主による協会があり、全米で公開するのは、協会主催のテストに合格しなくてはいけません。10代、20代、30~50代と世代別の試写会が3回開かれ、作品内容が採点されるんです。テストの前は非常に緊張しましたが、結果は平均89点という高得点でした。そのお陰で、『D-WARS』を自分の劇場でも上映したいという劇場からのオファーが殺到したんです。フィルム数が足りなくて、当初は2275館でしか公開できませんでしたが、その後ハワイやアラスカでも公開され、最終的には3000館近い劇場で上映されました。マスコミの反応が怖くて、マスコミ向け試写はしませんでしたが、保守的で知られるNYタイムズには『新人監督がこんな映画をつくるとは信じられない』と好意的な映画評が載ったんですよ」
──モンスター軍団がLA市街地で大暴れするシーンには目を見張ります。特撮に対するシム監督の異常なまでの情熱に、米国人はノックアウトされたんでしょうね。韓国では2007年の観客動員No.1映画ながら、酷評もされているのは何故でしょうか。成功者へのやっかみ?
「何故なのか、理由が分からないんです(苦笑)。韓国では、ひとりを除いて、全評論家から酷評されました。世論が2つに分かれ、『観るな!』という声まで出ていたんです。フランスやドイツの映画が米国でヒットしないのに、韓国の映画が全米で公開されるわけがない。シム監督は数字を誇張している詐欺師だ……とも言われました。私がコメディアンから映画監督になったことまで非難されたんです。韓国には日本の『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)によく似た『100分討論』(韓国・MBC)というテレビ番組があるのですが、その討論会にまで私は出演するハメになり、まるで南北問題のような大論争になりました。私は家族で楽しめるファンタジー映画をつくっただけで、政治的メッセージを込めたつもりはないんですが……」
──バッシングにめげないタフさがあるから、世界的な成功を収めたんでしょうね。ようやく日本でも公開されますが、これからもモンスター映画をつくり続けるんでしょうか。
「日本でもネット上で、すでに辛辣なコメントを見かけますが、まず作品を観てくださいと言いたいですね。観た上で『つまらない』と感じたら、酷評していただいて構いません。もうひとつだけ言わせてもらうなら、この映画は龍をモチーフにした幸運を運ぶ映画でもあるんです。この映画を観た後で、『龍の夢を見た』という方が多いんです。その後、恋人ができた、結婚できたという嬉しい知らせも聞いています。もちろん、モンスター映画はつくり続けますよ。今回は龍がモチーフでしたが、干支を題材にするのもいいかなと考えています。あと24本ほど撮りたい企画を温めているところなんです(笑)」
モンスター映画で世界征服を目論むシム監督。版権ビジネスで生きながらえている日本の製作会社は、このエネルギッシュさを見習ってほしいものだ。
(取材・文/長野辰次)
『D-WARS ディー・ウォーズ』
LAの中心部で突如起こった大惨事を取材したイーサンは、幼い頃の記憶に残るある人物が惨事に関係していることに気づく。その記憶はやがて現実となり、人類を未曾有の戦争へと巻き込んでいく……。
監督・脚本・製作総指揮/シム・ヒョンレ
出演/ジェイソン・ベア、アマンダ・ブルックス、ロバート・フォスター、エイミー・ガルシアほか
配給/ソニー・ピクチャーズ、ネオ
11月29日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー
■プレゼントの詳細
日刊サイゾーでは、映画『D-WARS ディー・ウォーズ』の公開を記念して、「MA7 エイブラムスのミニフィギュア」を5名様にプレゼントさせていただきます。プレゼントご希望の方は、下記応募フォームよりご応募ください。ご応募の〆切は11月21日(金)23時59分とさせていただきます。なお、当選の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。
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前作もぶっ飛んでます。
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