ドランクドラゴン塚地武雅が「5億円でも欲しい物」って?
#お笑い #映画 #邦画 #塚地武雅
着るだけで超ハンサムになれてしまうというスーツを手にしたブサイク男が、ハンサムとブサイクの二重生活を過ごしながら、本当の幸せを探し求める映画『ハンサム☆スーツ』が11月1日に公開される。
主演は、お笑いとしての活動はもちろん、06年の映画『間宮兄弟』では映画界の新人賞を総なめにし、翌07年には故・芦屋雁之助の後を継いでドラマ『裸の大将放浪紀』の主演に抜擢されるなど、性格俳優としても着実な進化を遂げているドランクドラゴン・塚地武雅。そんな彼が本作品への思い、お笑い業と俳優業について、自分が思うブサイク論など語ってくれた。
──ドランクドラゴンとしての活動では、自らコントの脚本・演出も手がけられている塚地さんですが、役者の仕事では演じることだけですよね。そこにはどのような意識の違いがありますか?
【塚地】 新鮮ですね単純に。自分で作ったものはイメージも最初からできているので、あとは(相方の)鈴木に教える作業だけなんですけど、こういった映画とかドラマのお仕事は脚本を読んで、監督のイメージを聞いて、「そうゆうイメージなんや、じゃあやってみます」って感じですね。基本、演出は監督さんにお任せしているんで、自分がなんとなく思っていたイメージとの違いとかが「面白いな」って思いますね。現場では「絶対、こっちの方がおもろくなるのにな」とか思うこともありますけど、そのまま(監督の指示通りに)やったら、ちゃんと面白くなっていたりするんでね。だから、監督のニーズに応えるということにやり甲斐を感じますよ。鈴木もこんな気持ちでやってくれたらええのになって思いますもん(笑)。
──最初に映画『ハンサム☆スーツ』のオファーが来たときは、どう思いましたか?
【塚地】 僕はだいたいモテない男の役が多いんですけど、この映画の脚本をもらったら、最初のページに「ブサイクな店主役 塚地武雅」って書いてあるんですよ。普通は役の名前が書いてあって、台本読むにつれて「ああ、こいつはブサイクでモテへんのやな」ってわかるんですけど、違いましたからね(笑)。まあ、ブサイクの代表として選ばれたことは非常に光栄だと思って演じさせていただきました。まあ、僕の場合ブサイクを「演じる」必要もないんですけどね(笑)。
──塚地さんのコントは、極端なキャラクター設定が多いですよね。それに比べて、映画やドラマではもう少し自然な役柄を演じることが多いと思うのですが、その辺りで、特別意識するようなことはありますか?
【塚地】 おぼろげながらになんですけど、少しずつ映画やドラマに出させてもらって何となくわかってきたのは、コントではデフォルメするというか、素の自分より遠くしていく作業をしながらキャラを作っていくんです。でも、映画やドラマでは役柄を自分自身に近づけていく感覚なんですね。より別人になろうとするのがコントなら、自分に役柄を重ねていくのがお芝居なような気がしています。
──今回、谷原章介さんと同一人物を演じられたわけですが、2人で1つの役を作り上げるという作業は普通あまりないですよね。
【塚地】 一応、(クランク)インする前に監督と3人で大まかなキャラクターは作っておこうということで話はしましたね。元々が太っている役なので、例えば足の組み方をぎこちなくするとか、ほっぺの肉を引っ張るクセがあるとか、デブっぽい細かな仕草みたいなのは先に決めました。撮影入ってからは谷原さんと現場で会うことが少なかったので、「今日は、人差し指と中指だけ伸ばして、腕を右斜め45度に振り上げて『センキュー』っていいました」とか細かなメールを送ったりしていましたね。谷原さんからも「今日は左目でウインクして、こう言いました」みたいな返信があったりしてって感じですね。
──映画では「ブサイクって辛い」ということがふんだんに描かれていますが、逆にブサイクで得するようなことってあるんでしょうかね?
【塚地】 僕の場合、本当に唯一ですけど、この職業やれていることですかね。ブサイクが笑いに変わるんですもん。普通の人生を送っていたら、まず面と向かって「アンタ、ブサイクだね」なんて言われることもないでしょうし、そう言われることに対する免疫もできないで、ブサイクなのにブサイクじゃないふりをして普通に生活すると思うんです。多分、そうすると陰で言われるじゃないですか。それってかなりキツいと思うんですよ。ただ、お笑いやっていると「お前、ブサイクやな」って言われるだけで笑いがとれるとか、ブサイクな顔しただけで笑いがとれるんです。そうやって、面倒な段取りを踏まなくても笑いが取れちゃうのは恵まれているんだなって思いますよ。
──今回演じた琢郎という役に共感する部分はあったりしましたか?
【塚地】 もうね、共感しかしてないというか、完全に僕ですね。北川景子ちゃん演じるヒロインに、僕がキレるシーンがあるんですけど、そのときは完全に役じゃなくて僕自身が北川景子にキレてましたからね(笑)。あのときはセリフも勝手にというか、考えることなく自然に出てきましたもん。あのシーンは完全にドキュメンタリーです(笑)。
──塚地さん自身はブサイクでもこうすれば幸せに生きられるんじゃないかという考えはありますか?
【塚地】 やっぱり、何事にも一生懸命やることだと思いますよ。そういう人って、一緒にいても気分がいいじゃないですか。琢郎の場合も、見た目しか知らない人には色々イジワルなことをされたりしますけど、ちゃんと内面をわかっている人たちがいて、琢郎のことを気にかけてくれる人たちがいるわけです。確かに見た目がいい人よりはモテないかもしれないですけど、ちゃんと頑張っていれば報われるときがくるんだよって思いますよ。
──では、最後に「ハンサム☆スーツ」がもしあったら、塚地さんは欲しいですか?
【塚地】 それは、もう確実に欲しいです! もし谷原さんになれるのであれば、僕は谷原さんで今後の人生を生きていこうと思いますね(笑)。ただ、今までの仕事ができなくなっちゃうのは、やっぱり寂しいですよね。
──もし「絶対☆スベらないスーツ」というのがあったとしたら?
【塚地】 それは、5億出しても買いますね。ローン組んでも買います。それで、まずは相方に着せます(笑)。
●塚地武雅
つかじ・むが。1971年11月25日、大阪府生。大学卒業後、サラリーマンを経てプロダクション人力舎の養成所「スクールJCA」に入学。同年、養成所で出会った鈴木拓とお笑いコンビ「ドランクドラゴン」を結成する。『爆笑オンエアバトル』(NHK)、『新しい波8』(フジテレビ)などで頭角を現し、05年に『はねるのトびら』(フジテレビ)がゴールデン枠に移行したことで全国区の人気を得る。
第80回キネマ旬報ベストテン新人男優賞、第30回日本アカデミー賞新人俳優賞、第49回ブルーリボン賞新人賞、第61回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞
※いずれも『間宮兄弟』(06年=監督・森田芳光)
●『ハンサム★スーツ』
出演:
谷原章介 塚地武雅(ドランクドラゴン)
北川景子/佐田真由美/大島美幸(森三中)/池内博之/本上まなみ
佐々木希/山本裕典/ブラザートム/温水洋一/中条きよし/伊武雅刀
監督:
英勉
脚本:
鈴木おさむ
ビジュアルディレクション:
飯田かずな
企画・プロデューサー:
山田雅子
配給:アスミック・エース
11月1日(土)
渋谷シネクイントほか全国拡大ロードショー
http://www.handsome-suits.com/
(C)『ハンサム★スーツ』製作委員会
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