世界の中心で「発祥」を叫ぶ!? 愛知『桃太郎神社』の本気な主張
#退屈巡礼
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第三回は「桃太郎誕生地」である『桃太郎神社』に行ってきました。ちなみに、吉備だんごで有名な岡山ではなく、愛知でした。(境内の様子はこちらから)
「日本の昔ばなしの多くは、その元となる実話があった」とされていますよね。そうなると「伝説発祥の地」というのがあるワケなんですが、「ウチこそは正統な発祥の地」というアピール合戦がなかなか熱かったりします。さすがに「金太郎」は歌にもある通り、小田原の足柄山ということでほぼ決まりという感じなんですが、「浦島太郎」ぐらい決め手を欠くお話となると、それこそ立候補の地がごまんと出てくる始末で、中には「おまえの県、海無いじゃん!」というところまであったり……。
じゃあ「桃太郎」は? といえば、「きびだんご」の吉備の国、つまり岡山だとほとんどの人が答えると思いますが、「ウチこそが桃太郎伝説の発祥の地!」と言い張っているところが、日本中に30以上もあるんだとか。
まぁ「吉備津彦が岡山地方を平定した話が、桃太郎伝説のもと」という説に比べれば、他のところは”泡沫候補”という感も否めませんが、しかしそれに強力な「待った!」をかけるのが愛知県・犬山市。なんとここには「桃太郎神社」という、ズバリ桃太郎が祀られている神社があるのです。
神社に行ってみると、まず目につくのが境内のいたる所にある、桃太郎や犬・サル・キジ、そして鬼の”ユル~い”コンクリート像たち。もう、これだけでも来た価値がある”ゆるキャラ”っぷりなのですが、その像の傍らに「桃太郎誕生地」と、思い切り断定したプレートがあったりします。
そこまで強気であるからには、よほどの根拠があるようで、まず第一に「日本で唯一、国から正式に”桃太郎神社”と認定されている」(もしかして「申請したモン勝ち」ってやつ……?)。第二に「付近には犬山をはじめ、サル洞、キジヶ棚、桃山、宝積寺などなど桃太郎ゆかりの地名が揃っている」。
…………え? 以上!? たしか「桃太郎」に犬・サル・キジが登場するようになったのは、明治時代に入ってからのハズなんですが……と、もうツッコミを入れるのも無粋な気がしてくるような微笑ましい根拠なのですが、しかしこの桃太郎神社は完全に本気も本気! 「信じない輩には目にもの見せてくれよう!」と言わんばかりの、数々の”物的証拠”を陳列中。
まず神社入口には「お婆さんが毎日洗濯をした岩場の足跡」……って、どんなパワフルな脚力のお婆さん? とうっすら思ったりしますが、宝物殿はもっと強烈。なんとそこには「鬼の頭蓋骨」「鬼の子のミイラ」(火事で焼失のため写真のみ)「鬼の金棒」「鬼の珍宝」(犬に噛み切られたらしい)が……いやいやいや、桃太郎伝説よりも鬼が実在する方がスゴくないか? 他にも、これも写真のみですが「桃の化石」なんてのもあったりして、ファンタジー過ぎる「物証」のせいで逆に胡散臭くなってる気が! いや、むしろ、ここが発祥の地であってほしい! と応援したくなってきました。
むしろ桃太郎の方が悪く見えるぐらいの一方的暴力。
「やさしい鬼です 背中へどうぞ!」
「国定公園内」だからといって、「誕生地」を国が定めたワケではありませんが。
この像もまたスゴい……!
ツッコミどころが多すぎて、何から言えばいいのかわからないぞ!
ビミョーにエロく見えるのは気のせいです!
●ご利用の心得
・あまり本気で「本当の桃太郎伝説発祥地」は議論しない方向で。
・味のあるコンクリ像は、意外な場所にもあるのでひとつも見落とさないように!
・子供の健やかな成長にご利益のあるとされる、ちゃんとした神社ですので念のため。
●あまり親切でないご利用案内
営業時間:午前9時から午後5時
定休日:年中無休
料金:境内自由。宝物館のみ入館料200円(子供100円)
住所:愛知県犬山市栗栖字古屋敷
アクセス:最寄り駅の名鉄犬山線・犬山遊園駅からでも徒歩だと45分とのことなので、可能なら車か駅からタクシーをオススメ。車の場合は中央自動車道・小牧東IC、もしくは東名神高速道・小牧ICからモンキーパーク方面。
HP:http://www.yha.gr.jp/momotaro/index.html
(取材・文/大黒秀一)
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