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サニーサイドアップ上場の裏に悪評飛び交う”偽善系”仕事術(後編)

ssukitajima.jpg北京五輪で3個のメダルを獲得した北島
康介。SSUの株式上場に弾みをつけた格
好になった。

前編はこちら。

 ご記憶の読者も多いだろうが、05年に起きた、日本でSSUが仕掛けた「ホワイトバンド問題」の前例もある。「ほっとけない 世界のまずしさ」を合言葉に、1本300円で販売されたホワイトバンドは若者を中心に一大ムーブメントを起こし、国内で200万本の売り上げを記録するに至った。

 しかし、「直接的に、貧困国へ物資やお金がいかないキャンペーン」ということで痛烈な批判を受けたのであった。6月に行われたエキシビジョンマッチはまさにその二の舞といえよう。小田嶋氏も「慈善事業をネタに利益を生み出そうとする発想そのものが、批判の対象になっても仕方がない」とこれらの活動を批判する。

 だが、SSU側はこの運動を「チャリティ」ではなく、「あくまでも啓発活動」だと主張している。とはいえ、そういったやり方も「金儲けの手段以外の何物でもない」というのがサッカー業界、テレビ業界内でのもっぱらの評判となっている。「SSUとは二度と一緒に仕事したくない」と日本テレビのあるスタッフはこぼす。

「SSUはワガママでしょうがない。TAKE ACTION 2008 +1の放送の現場は『早く終わってくれ』という空気でしたね。試合前日まで出場メンバーを教えてくれないし、ゲストで来たヨン様をはじめ、スタンドに来た芸能人を画面に映すように指示されて、わざわざそれをチェックするディレクターまでSSUから派遣されてきた。さらに、取材陣からも、駐車場代1台につき1000円を取る始末。やりたい放題ですよ」と嘆いた。

 また、試合に参加した外国人選手はすべて新宿の某一流ホテルのスウィートルームに宿泊したという。試合前夜に行われたパーティーは贅を尽くしたもので、参加者のひとりは「あんな度肝を抜くような贅沢は見たことがない」と目を丸くしながら「貧困問題を訴えている人たちが、こんなに金をかけていいものなのか疑問でしたよ。貧困問題について話している人もいないし、その場での説明もなし。慈善試合を行う雰囲気はまったくありませんでした」と首を傾げた。

●旅の目的は「自分探し」? それとも「金脈探し」?

 さらに、中田の引退後の「自分探しの旅」と試合の映像をまとめたDVDが9月26日に発売されるのだが、このDVD1枚が売れるたびにアフリカへ蚊帳を1枚送ることになっている。そうした寄付活動を行うという理由により、試合参加者はこのDVDによる売り上げの印税を請求しないというサインをなかば強制的にさせられたのだ。「自社に所属する人間の肖像権だけは必要以上に保護して、他人の肖像権は軽視する。蚊帳ひとつの原価なんてたかが知れてますよ。本当に自分勝手な会社だと思いますね」(前出・プロダクション関係者)

 ちなみに、「自分探しの旅」の資金も、日本テレビの報道番組『NEWS ZERO』で放映するということで、同局が旅費の一部を出資したのだが、番組内の映像の権利はSSUにあるのだという。それをDVDとして販売して金儲けしようとしているのだから、SSU恐るべし。「人の金で『自分探しの旅』をして、結局は金儲け。いい身分ですよね」(前出・日本テレビスタッフ)

 このような傲慢な態度をとれるのも、中田や北島といった”財産”をSSUが抱えているからこそだろう。

 「まだまだSSUの天下は続く」と前出のプロダクション会社関係者は語る。スポーツマネジメントの世界は独特で新規参入が難しい世界だからこそ、今後もSSUが力を発揮し続けるというのだ。「エイベックスがダルビッシュ有(野球)と契約したり、吉本興業には長谷川滋利や石井一久ら(共に野球)が所属するなど、スポーツマネジメントを始めたものの、上手く軌道に乗せられず、すぐに傾きました。大手のホリプロでさえ、スポーツ部門は縮小傾向にあります。そんな業界の中にあって、スポーツビジネスに特化して急成長したSSUの力は絶大です」(プロダクション関係者)

 「たのしいさわぎをおこしたい」というキャッチフレーズをSSUは掲げているが、これでは、楽しいのは自分たちだけ、周囲はまったく楽しくない、という有り様だ。SSUが創り出す「利益」と「虚像」はこれからさらに膨れ上がっていくに違いない。
(文=佐竹仁義/「サイゾー」10月号より)

サニーサイドアップの仕事術

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最終更新:2008/09/23 11:00
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