これじゃ破綻も必然?『私のしごと館』に行ってみた
#退屈巡礼
この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第一回はオープン5年目で早くも民間委託が決まった、京都の『私のしごと館』に行ってきました。
数ある”血税無駄遣いのハコモノ”の中でもボス級の赤字施設「私のしごと館」(京都府)が、とうとう廃止の方向で話が進んでいるようです。建設費およそ581億円、そして年間約20億円の赤字……と、これだけのお金がタレ流し的に使われたんじゃ、そりゃ皆さん怒りますよね~。でもまぁ、そういう問題の追及はとりあえず横に置いておくとして、「せっかくあるんだから、どんなところか行ってみよう!」という方針で楽しんでみることにします。今後は民間に委託されるとはいえ、いつ無くなっても不思議じゃないですからね。
(館内の様子はこちらから)
そもそもこの「私のしごと館」、何をするところなのかと言えば、いろんな職業を体験する事で「働く喜び」を知ってもらおうという、「キッザニア」のちょっとアダルト版という感じ。体験できる職業も日本の伝統工芸から美容師やピアノ調律師、声優、ケーキ職人に消防士、果ては宇宙開発まで、憧れの職業や夢のお仕事がズラリと勢揃い。そしてほとんどの職業が「実際に現場で使われているホンモノ」で体験できるというのが特徴とのことなので、どうせなら普通は絶対に体験できそうもない「宇宙開発」にトライすることに。
宇宙開発のブースに使われている、円筒状の宇宙ステーションの一部もホンモノと同じものらしく、これだけで数億円かかってるとか……そりゃどんだけお金があっても足りないよ!
しかも「宇宙開発」って何をやるのかと思えば、単に地上チームと宇宙チームに分かれて、マニュアル通りに「通信ごっこ」をするだけ! こ、これは……せっかくの設備がほぼ意味ナシでは……。
たまたま社会見学で来ていた女子高生と通信できたのはささやかなラッキーでしたが、これは明らかに職業のチョイスを間違った気が! 隣でやっていた「消防士」(こちらも本物の消防車や消防服を使用)の方がずっと楽しそうでした。やっぱり職業選びは大事だな、と思い知りましたよ。
とまぁ、今回は運悪くとんでもなくつまらないコースをチョイスしてしまいましたが、選び方を間違えなければ貴重で楽しい体験ができるはず。中には、オリジナルのリカちゃん人形を作ってお持ち帰りできる「玩具製作」なんていうマニアックなコースもあるので、ムダに豪華なこの施設がまだ残っているうちに行ってみるのも悪くないんじゃないでしょうか。問題は、京都の郊外(ほぼ奈良)という、ほとんどの人にとってすごく不便な場所にあることですけどね。というか、場所を決める時点で「人が来ないだろうなぁ」ってのは予見できなかったんでしょうか? 本当に謎です。
お金がかかったわりには特にやることはナシ。
宇宙はとてつもなく退屈なのですね、わかります。
あのぉ、家のパソコンでもできそうなんですけど(笑)
●ご利用の心得
・いちいち「国民の血税で…」と怒らない!
・「ホンモノ」の機材や装置を存分に堪能しよう
・明らかにおかしな点はツッコミで楽しもう
●あまり親切でないご利用案内
営業時間:午前9時30分から午後5時
休館日:毎週月曜(祝祭日の場合は翌日休)および年末年始(12月25日~1月5日)
入館料:大人700円、大学生500円、中高生300円、小学生200円 ※一部体験については別途料金
住所:京都府相楽郡精華町精華台7丁目5-1
アクセス:JR学研都市線「祝園」または近鉄京都線「新祝園」駅より奈良交通バス、「私のしごと館」下車
HP:http://www.shigotokan.jp/
(取材・文/大黒秀一)
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