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「最後は気持ち」豪腕セキュリティ会社『BONDS』のやり方

写真中央が代表取締役ISE。一番右は加藤友弥。(撮影/水野嘉之)

 唐突だが、会社とは「人の繋がりで、できているもの」だとよく言われる。だがスタッフたちが利害関係ではなく、人と人との”絆”で繋がっているといえる会社が、果たしてどれだけあるだろうか。

 クラブでの喧嘩やトラブル処理などを請け負う、セキュリティ会社「株式会社BONDSグループ」。代表のISE(伊勢野寿一)自身がプロの総合格闘家であるように、100名を越すスタッフは、格闘家、柔術家、大学の相撲部員など屈強な男たちが集まっている。3年前の設立から契約店舗が年々倍増し、今では都内近郊を中心に数多くのクラブやイベントで、セキュリティ業務を行う。

 彼らは自分たちからの営業は一切しない。 それどころかISEは 「やたらと会社をデカくしようっていう考えもない。むしろ、下の人間には独立していってほしいから」と言う。

 成り立ちは、自然発生的だった。

「20歳の頃に友達に頼まれて個人で始めたのがきっかけで、当時は学生のイベントなどのセキュリティをやってました。次第に、ほかのイベントにもヘルプで行っているうちに、だんだん人が集まってきて、じゃあ自分たちで会社として仕切り直そうかってなったのが3年前」

 だが当時担当していたクラブは、わずか2カ所。初月度の売り上げは5000円だった。

「それでもうれしかったですよ。会社組織になる以前は、クラブで愚連隊がよく暴れてた時期ということもあって、店や一般のお客さんの迷惑になるような人物をムカついて引きずり出したり殴ったり、暴力で解決していたような時期もあったんです。でも、今後はそういうこともやめて、クライアント(クラブやイベンター)の信頼を得るようにしようって」

 暴れている人間に対して、手を出さずにトラブルを収める。店の物を破損されたら、話し合いで弁償してもらうようにする。問題発生の芽を摘むべく、IDやボディチェック、薬物持ち込み検査まで地道な作業を決して怠らない。そうやって店の信頼を得てきたという。

 とはいえ、拳やビール瓶が飛び交う中で、体を張るのが容易ではないことは誰でも想像がつくだろう。しかし、BONDSにはトラブル対応マニュアルなど存在しない。最後は「気持ち」なのだとISEは言う。

「暴れている奴に立ち向かっていくには、最終的に、『気持ち』。だからスタッフの採用面接のときには、スパーリングで追い込んで、どれだけやれるかっていう『気持ち』を見るんすよ。疲れきって体が動かないときに、それでも前に出るっていう姿勢が見れれば合格っすね」

「BONDSは店のことを第一に考えて体を張る」「安全に遊べる場所にしてくれる」。そういった評判が、クラブ関係者の間で口コミで伝わり、契約店は年々増えていった。同時にISEを慕ってやってきて、厳しい「面接」を潜り抜けた男たちの数も。

「新しく入ってくるメンバーは、在籍しているスタッフの知り合いだったり、格闘技にたずさわってる奴らですね。プロ格闘家を目指している連中が日銭を稼いだり、スタッフの人生の助けになるような場所として、BONDSを続けているという意識もあります。それぞれが自分で食える道を見つけたら、巣立ってほしいし、もしそれがダメだったとしても帰る場所として残しておきたい」

 それはむしろ会社というより”ファミリー”なんじゃないか。そう訊ねると「確かにそうっすね」と彼は笑った。

「昔は自分も格闘技でメシ食っていくことしか頭になかったから、こういう風に会社を経営している、なんて考えてもいなかった。でも、下の人間が集まって信頼してくれているからこそ、俺も責任を持たないとって思うようになったんですね」

 彼の左手甲には「一族」、右手甲には「絆」と刺青が彫られている。利害ではない、信頼だけで繋がった会社が、ここにある。
(鈴木ユーリ/「サイゾー」10月号より)

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最終更新:2009/03/07 10:38
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