「それは、ネタじゃない」“あらびき芸人”の苦悩と野望
#テレビ #お笑い
異端児のようだったのに、今ではすっかりお笑いブームを牽引する番組に定着した、『あらびき団』(TBS)。
ハリウッドザコシショウ、ふとっちょ☆カウボーイ、安穂野香、はるな愛、風船太郎など、番組内で「あらびきスター」と呼ばれる芸人たちに、番組進行をつとめる東野幸治と藤井隆が、よく冗談混じりにこんなことを言う。
「みなさん、この『あらびき』という檻の中から出たらダメなんですよ。大変なことになります」
“エアあやや”でブレイクした、はるな愛などという例外もあるが、多くのあらびき芸人が、ひとたび別の番組に出たとたん、「あれ?」という空気を醸し出してしまう現象が、あちこちで起こっている。
あらびきスター・ふとっちょ☆カウボーイが、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)に出演したときのこと。
「メーターボリーック、パン、パ~~ン!」と、甲高い声で叫びながらお腹をつきだし、くどいほどに「ヘーイ! パ~ン!」を繰り返すのが、『あらびき』ではおなじみのスタイル。ところが『レッド』で披露した芸は、イラストを書いた紙をめくっていく手法のネタで、会場はポカーン。そして、結果は「中笑い」。
「『中笑い』は、逆においしかったなとは思うんですけどね」
都内喫茶店で、ふとっちょ☆カウボーイを直撃した。このとき、彼はオーディションのネタ見せで、「メタボリック、パーン」をちゃんとやっているのである。しかし、番組側の反応は、こうだった。
「それは、ネタじゃない」
……「ネタにあらず」と否定された、あらびき芸。
「『ネタを見せる番組なんで』『ネタをやってください』と言われました。それでやったのが、あの紙芝居風のものだったんです」
『エンタの神様』(日本テレビ)のオーディションでは、「言うほど太ってないよね」という理由で落選した。
「汐留でうずくまりました。今はもう、太ろう太ろうと努力して、この通りです」
『あらびき団』はといえば、紙芝居がダメでキャラだけがOK、という、『レッドカーペット』とは真逆の扱いになった結果、その「パーン、パーン」が登場、あらびきスターとして人気者になった。あるテレビ系のライターは言う。
「『あらびき団』は、ありえないタイミングでヘンな場所をアップにしたりとかして、東野さんたちがツッコみやすいポイントをつくったりとかして、笑いを生み出してますね。芸人が、普通は食べられないようなクセの強い食材で、シェフが東野さん藤井さん、そして食材の下ごしらえもしくは調味料が、スタッフ」
ふとっちょ☆カウボーイも、そんな実感がある。
「事前の打ち合わせとか、ほとんどやってないんですよ。自由にネタをやらせてもらって、オンエアを見たら、『こんなふうになってたのか』と、いう発見があります。そこに、東野さん藤井さんのツッコミが加わって完成するのが『あらびき芸』なんですよね」
前出のライターは言う。
「別のあらびき芸人が他の番組に出たときにも、ここでアップで抜いてほしいというタイミングでゲストの顔になってしまったりして、結果すべってしまったり。やっぱり、調理法を選ぶ食材だらけなわけで、そうでないと、食べ方の分からない珍味になってしまうんでしょう」
小島よしおやエドはるみ、鳥居みゆきなど、『エンタ』に落ちまくっていたのに、ブレイクした途端、手のひら返しでオファーがくる。
「その“逆輸入”を狙いたいですね。ザコさん(ハリウッドザコシショウ)と、時々言うんです、『オレたち、悪魔芸人だからな』って。あらびき芸人は基本的によどんでますから。ただ、悪魔超人が正義超人たちの中で暴れ回って人気者になったように、もうちょっとガマンして、悪魔芸人の活躍する時代を待ちたいです。パーン!!」
(文=太田サトル/サイゾー公式携帯サイト「サイゾー裏チャンネル」より)
あらびきが丸わかり。
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