熱戦の余韻冷めやらぬ晩夏は“野球”映画に大注目!
#映画 #邦画
オリンピックも終焉が近づきつつあるが、日本の夏のスポーツ風物詩でもある高校野球も、第90回の記念大会で例年よりも多い55の高校が激闘を繰り広げ、去る8月18日に無事に閉幕。大阪桐蔭高校(北大阪)が常葉菊川(静岡)を17対0という大差で圧倒し、17年ぶり2度目の優勝。決勝戦での17得点、17点差という記録は、第6回大会(1920年)以来の史上最多タイだとか。終わってしまった今年の甲子園を名残惜しむなら、映画館で繰り広げられている球児たちの熱い夏を見てほしい。
ひとつは公開中の映画『ひゃくはち』。主人公の雅人とノブは、甲子園常連として知られる京浜高校・名門野球部の補欠部員。上級生が引退しても彼らに与えられるのは雑用ばかりで、さらには有望株の新入生が入部。2人は高校生活最後の甲子園を目指す部内で、ベンチ入りを巡って争うことになる。
エースではなく、万年補欠が主役というのが本作のユニークなところ。監督は29歳の新鋭・森義隆で、本作が劇映画の監督デビュー作。監督も球児だったということで、描写もリアル。名門野球部の部員といっても、いろいろやりたいお年頃の高校生。映画タイトルが煩悩の数を表しているように、こっそり喫煙したり合コンしたりという“悪さ”も描かれている。とはいえ、世間の持つ高校球児たちへの清々しいイメージをことさら壊すことはない。彼らがひたむきで前向きに、なによりも甲子園という晴れ舞台を一番夢見て目指していることは間違いなく、そのあたりの前向きな姿は、甲子園で激闘する球児たちが流す汗のごとく爽快だ。
さらに、高校野球ではなく大学野球を描いたものだが、『ラストゲーム/最後の早慶戦』(8月23日公開)という映画もある。年々、戦争を知る世代が減っていくとはいえ、今なお日本人にとって大きな影を落としている太平洋戦争。その戦下である1943年、「野球は敵国アメリカのスポーツだ」として東京六大学野球連盟が廃止され、学生への徴兵猶予もなくなり、学徒出陣が迫る学生たち。そんな折、慶應大学からの働きかけもあって、10月16日、戸塚球場にて“最後の早慶戦”(出陣学徒壮行早慶戦)が行われる。その様子を克明に描いた感動ドラマだ。
『ひゃくはち』が可笑しくも爽やかな青春ドラマという趣なら、こちらは感動路線のシリアスなヒューマンドラマ。野球や恋、友情にひたむきな若者たちの姿は現代となんら変わりはないが、ただひとつの大きな違いが戦争というものの存在。野球モノとして見てももちろんOKだが、8月15日の終戦記念日が過ぎたばかりでもあるので、戦争について考えを巡らせてみるにもいいかも。ちなみに、主人公の早稲田大学野球部員・戸田を演じるのは、あの渡辺謙の息子・渡辺大で、顔も声もソックリ。単独初主演作になるが、果たして将来は父のように日本をしょって立つ存在になれるか?そのあたりも注目してみては。
(eiga.com編集部・浅香義明)
作品の詳細は以下より。
『ひゃくはち』
『ラストゲーム/最後の早慶戦』
『ひゃくはち』の原作本はこちら。
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