トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 正念場のシャマラン監督『ハプニング』は好発進!?

正念場のシャマラン監督『ハプニング』は好発進!?

hapuningu.jpg『ハプニング』/(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX

 東宝配給の日本映画が君臨する国内映画市場トップ10に、26日~27日の週はハリウッド映画が3本割り込んできた。そのうちもっとも上位になったのは、『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督の新作『ハプニング』で、3位デビューに成功している。公開2日間の成績は、動員が20万9482人、興収2億8073万2500円となった。


 これは、シャマラン監督の近作2本と比較すると、06年の『レディ・イン・ザ・ウォーター』のほぼ300%、04年の『ヴィレッジ』対比では82.5%という水準である。最終的には興収15億円あたりがゴールだろうと予測できる。公開前の下馬評からすれば、上出来の滑り出しだ。

 さて、シャマラン監督と言えば、何と言っても99年の大出世作『シックス・センス』が未だ記憶に新しい。ホラー映画の雰囲気でヒリヒリと進行しながら、最後にドンデン返しを決めて感動作に変身させる仕掛けは、とても29歳(当時)の青年監督とは思えない鮮やかさだった。

 この映画はアカデミー賞6部門にノミネートを受け、一躍時の人となったシャマラン監督は、続く00年の『アンブレイカブル』、02年の『サイン』とヒットを連発する。以下『シックス・センス』以降のシャマラン作品の日米における興行収入を記してみる。(題名に続くカッコ内は、全米配給/日本配給)

1999年『シックス・センス』(ディズニー/東宝東和)
全米興収:2億9350万ドル/国内配収:43億円(興収およそ70億円)

2000年『アンブレイカブル』(ディズニー/ディズニー)
全米興収:9500万ドル/国内興収:29.4億円

2002年『サイン』(ディズニー/ディズニー)
全米興収:2億2796万ドル/国内興収:34億円

2004年『ヴィレッジ』(ディズニー/ディズニー)
全米興収:1億1419万ドル/国内興収:17億円

2006年『レディ・イン・ザ・ウォーター』(ワーナー/ワーナー)
全米興収:4227万ドル/国内興収:3.4億円

2008年『ハプニング』(フォックス/フォックス)
全米興収:6374万ドル/国内興収:10~15億円

 ディズニーと別れ、ワーナー、そしてフォックスと組んだ最近の2作品は、全米で必ずしも大成功は収めていない。「『シックス・センス』以降は坂を転げ落ちている」「もはやシャマラン・マジックはネタ切れだ」といった意見は引きも切らない。しかしながら、コンスタントに2年に1作をリリースしている点にまず驚かされる。一連の作品群は、すべてシャマラン自身の脚本なのだが、オーソドックスな佇まいながら、多分にトリッキーな要素をはらんだ「シャマラン印」に彩られている。『シックス・センス』を見てしまった観客は、「また何かやってくれるはず」という期待とともに新作を見ることになる。

 そういう意味では、今日、シャマラン監督は、スピルバーグ、タランティーノ、ティム・バートンのように、その名前で客が呼べる数少ない監督の一人であることは間違いない。アート系では、名の通った監督はもっと多いが、興行価値がともなった作家はまずいない。シャマランは、日本で10億円以上の興収をコンスタントに上げられる、数少ない監督の1人なのである。

 もっとも、シャマラン監督はギャラも高い。その昔、『シックス・センス』では100万ドルだった監督料が、『アンブレイカブル』では300万ドル、『サイン』では何と1250万ドルにまで跳ね上がっていた。その後『適正価格』に近づいていったようだが、今作の『ハプニング』でも最低保証100万ドル以上、プラス本作が製作費を回収した後の売上の25%をギャラとして受け取る契約になっているらしい。

 シャマラン監督は、今回の『ハプニング』で『レディ・イン・ザ・ウォーター』の水底から這い上がったかに見える。しかし観客は『シックス・センス』級のハプニングを期待していたはず。今作に対する観客の満足度は決して高くない。このあたりで起死回生の一発を決めないと、名前が忘れられかねない。シャマラン監督、そろそろ正念場である。
(eiga.com編集長・駒井尚文)

作品の詳細は以下より。
『ハプニング』
『シックス・センス』
『アンブレイカブル』
『サイン』
『ヴィレッジ』
『レディ・イン・ザ・ウォーター』

翼のない天使

シャマラン監督デビュー作。ふつうに泣けるおはなし。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 『ダークナイト』筆頭に“記録的”アメコミ映画が続々上陸!
【関連記事】 日本公開は奇跡!? 井口昇のモンダイ映画がついに解禁!
【関連記事】 『ポニョ』は中ヒット? 歴代人気作品と徹底比較分析!

最終更新:2008/08/04 21:10
ページ上部へ戻る

配給映画