原油高でボロ儲け!? ゴールドマン・サックスの“罪”
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ガソリンの値上がりが止まらない。その原因となっている原油価格の異常なまでの高騰を前に、国内の市場関係者は「あいつらの言うことが本当になった」と嘆く。“あいつら”とは、米国を代表する金融グループ、ゴールドマン・サックス(以下、GS)のこと。GSが5月5日に発表したリポートで、2010年までは原油相場の上昇が続き、「1バレル135ドルの高値をつける」との見通しが示されていたことが衝撃を与えているのだ。
「GSの予測が的中したのは初めてではない。原油価格が50ドル近辺で推移していた05年にも、『105ドル近辺まで高騰する』というリポートを発表している。2度も衝撃的な見通しが当たったとあって、市場関係者は次のGSリポートの発表をかたずをのんで見守っている」(前出の市場関係者)
しかしこのGSリポートに対しては、「インチキだ」との声もある。というのも、今回の原油高の主因は、昨年来のサブプライム問題で証券市場が暴落する中、欧米の機関投資家が投機資金を原油市場に注ぎ込んでいること。金融商品よりは原油が“安全”であるため投資資金が集中し、集中するからこそ値上がりするためにさらなる資金が集まる――というわけだ。そして、この機関投資家の中心的な存在というのが、ほかでもないGS。「原油価格をつり上げている張本人がGSなのだから、見通しが当たるのは当たり前。GSリポートに踊らされて原油の投資が進めば、さらにGSを肥えさせるだけ」(エコノミスト)というように、いわばGSリポートはマッチポンプといっても過言ではないのである。
これに対し、弊誌08年4月号でも紹介した、“爆弾発言官僚”として名高い経済産業省の北畑隆生事務次官も、「原油高の主因は投機資金であり、怒りに近いものを感じる」と痛烈に批判。だが、金融市場を所管する財務省は沈黙を守っており、政界関係者は財務省のこの弱腰について、「米国政府にべったりの財務省はGSになど逆らえないだろう」と指摘する。
「GSは、米国政府と密接な関係にある。これは、米国政府のポールソン財務長官がGSの前会長だという事実からも明らかで、現在の米国の財政・金融政策は、露骨に金融機関寄りとなっている。よって、GSを中心とした米国金融機関に逆らうことは、米国政府に逆らうのと同義」(同)
つまり、マッチポンプのGSリポートも、米国政府という巨大な後ろ盾があるからこそ、というわけだ。しかし、そういった金融機関とは距離がある民主党のオバマ候補が大統領ともなれば、GSの天下も終わるという見方が強い。オバマ大統領の誕生で、GSの天下も「CHANGE」となるのか、注目される。
(千代田文矢/「サイゾー」8月号より)
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