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すべての元凶!? サマランチIOC名誉会長独占激白!(前編)

samaranti1.jpg写真/ペラ・プンティ

 北京五輪開催直前、IOC名誉会長であるサマランチにインタビューを敢行! 指定された場所は、スペイン・バルセロナの大手貯蓄銀行「ラ・カイシャ」の会長室。彼は同銀行の名誉会長でもあるというのだ。五輪を商業イベント化したことに対する自身への批判をどう捉え、北京五輪をどう見ているのだろうか?


 ホアン・アントニオ・サマランチの最大の功績は、五輪にテレビ放映権、企業広告、スポンサーなどの収益メカニズムを積極的に導入し、今日のIOC(国際オリンピック委員会)の盤石の財政基盤を築いたことであると言われる。しかし、同時に五輪にビジネス至上主義を持ち込み、商業イベント化したことに対する批判も根強く、その功罪が問われている。北京五輪開催をめぐっては、今年3月に表面化した中国政府によるチベット弾圧が国際的な問題となり、世界各地で中国政府への抗議活動が行なわれ、一部の国ではボイコットすべきとの強硬意見も出るなど、開催さえ危ぶまれている——。

——現在はどのような活動を?

サマランチ(以下、サ) 健康が許す限り、“活動的な”隠居生活をしているよ。高齢者が積極的に社会に関わることはとても大事なことだ。今でも毎日この執務室からさまざまな案件に接し、私の意見を求める人たちに対応している。もちろん、あらゆるスポーツの活動にも関わりを保っており、IOCの事務局があるローザンヌ(スイス)へも定期的に訪れている。

——IOCの名誉会長を務められていますが、同職の具体的な役割とは?

サ 私は、要請があればいつでもIOCの役に立てるよう支援するつもりだが、現在の主な仕事は、五輪博物館や資料館の総括管理だ。

——あなたの後任である現職のジャック・ロゲIOC会長との関係は?

サ きわめて良好だよ。彼の日々の活動は会長職として模範的なものだ。彼は私の信頼できる友人でもある。ロゲ会長は、ドーピング撲滅など革新的なテーマに精力的に取り組んでいる。

——では、北京五輪開幕まで1カ月を切りました。「平和・友好・進歩」を謳う“聖火の精神”はまだ生きていると思いますか?

サ オリンピック・スピリッツは断じて絶えることはない。なぜなら、それは私たち自身の中に存在し、内面で生きているからだ。人間は常にスポーツを通じて、自らを超えるため、また仲間との共存、調和をより高めるために努力する。そして、その努力が実ることで、ライバルをも尊重できるのだ。

——あなたは、01年にIOCの会長職を辞す前に、北京を次期開催地にするために影響力を行使したと言われていますが、ここ数カ月クローズアップされている、中国政府の少数民族(チベット)に対する弾圧活動や大気汚染などの問題を見て、北京を推したことを後悔していませんか?

サ 私の在任中の93年時点では、北京は00年五輪開催地として有力な候補地だった。わずか2票差でシド二ーに敗れてしまったが、そのとき私が起こした唯一のアクションは、当時の中国最高責任者、江沢民主席および幹部に向けて手紙を書き、このとき北京開催を信じ投票した委員を裏切らないように、再び五輪開催地に立候補するよう依頼したことだけだ。そして8年後、彼らは再度立候補し、開催地の座を射止めたのだ。このように、長年の経緯を経て、ようやく漕ぎつけることができた五輪開催を後悔するはずがない。

——聖火リレーをめぐって、パリやロンドンでの抗議活動は、中国にとって最悪の出来事だったのでは?

サ ロンドン、パリという都市は、オリンピック・スピリッツを最も理解し重んじている場所でもあるだけに、本当に残念な出来事だった。だが、すべては過ぎたことだ。これからはスポーツマンのパフォーマンスが主役になるときがやってくる。

——チベット問題が北京五輪のイメージを汚すとは思いませんか?

サ この問題は当事者同士で解決されなければならないこと。他者のむやみな中傷や介入は、両者の平和的解決に水を差すことになりかねない。

——ロゲ会長はチベット問題に対し、対話で解決する姿勢を見せました。このような対応をどう思いますか?

サ 完璧な対応だと思う。ロゲ会長は、(中国との)指導者レベルでの対話を続けている。慎重かつ外交的、穏健的に対応している。彼の言動は、世界中のスポーツ選手たち、五輪の尊厳を守るための模範としてふさわしいだろう。

——今後、北京五輪開幕直前、開幕後にまた中国で問題が起こるということはないでしょうか?

サ 大会の成功や、新記録達成というような、純粋にアスリートたちのパフォーマンスによる、よいニュースだけが届くことを切望している。

——五輪開催中、公の場で、中国のチベット弾圧に対する抗議を訴えようとするアスリートもいるようですが。

サ 大会中、公の場で政治的な主張や抗議を考えているアスリートには、五輪憲章をよく思い出してほしい。これはすべての大会関係者に共通するものだ。五輪への参加はアスリート個人の自由だ。だが、参加する以上は五輪憲章のルールを遵守しなければならない。この質問に対する答えは簡単だ。中国に抗議したいのなら、五輪に参加しなければいい。
(セルジ ソレ・文/納田康晴・翻訳/栗原正夫(EIS)・協力/後編へ続く「サイゾー」8月号より)

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最終更新:2008/08/04 21:10
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