元祖デジタルアイドル伊達杏子は何度でも蘇る!?
#アイドル
『初音ミク』(音声合成・DTMソフト/クリプトン・フューチャー・メディア)や、『アイドルマスター』(アイドル育成ゲーム/バンダイナムコゲームス)のヒットによって、にわかに脚光を浴びる「デジタルアイドル」の世界。だが、今から10年以上前にこの分野を切り開いた先駆者的なアイドルがいる。その名は、伊達杏子。大手芸能プロダクション・ホリプロに在籍する、れっきとした「タレント」である。
伊達杏子が“デビュー”したのは96年、ちょうど恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』(コナミ)が人気を集め、「バーチャルアイドル」という言葉が世の中に浸透し始めた頃だった。
「当時、最先端だった3D映像技術や、人間の動きをコンピュータ上で再現する“モーション・キャプチャー”という技術を使って、新規事業として何かできないか、というのがキッカケでした。新しいマーケットができるのではないかと」(ホリプロ映像事業部映像制作一部・朝長泰司部長)
そうしてホリプロが伊達杏子プロジェクトに投じた初期投資額は、数千万円。それでも「CG制作会社も面白がってくれて、格安で協力してくれました」(同)とのことで、本来なら開発費が軽く1億円を超えるほどの大々的なプロジェクトだったそうだ。
そうして、シングル「LOVE COMMUNICATION」でCDデビューした伊達杏子だったが、ブレイクすることなく表舞台から姿を消す。この原因について、“萌え”文化にも造詣の深い経済評論家・森永卓郎氏はこう分析する。
「伊達杏子は時代の一歩先を行ったためにダメだったのです。最近になって、ようやくバーチャルアイドルが受け入れられるようになりましたが、これは、この10年間で男性の恋愛格差が大きく広がり、パートナーを得られない男性が激増したことが要因だと言えるでしょう」
ホリプロは、伊達杏子をドラマや情報番組のキャスターなどの本格的なタレント活動に入らせる予定だったが、そこにはまず超えなければならない高い壁があった。
「数々のオファーを頂いたんですが、実際のスタジオ出演となると、彼女を動かすためにキャプチャリングシステムという大きな機械を持ち込まなければいけない。これが1回の出演で数百万円かかるんですね」(朝長部長)
当時の最先端技術を惜しみなく注ぎ込んだがゆえに、伊達杏子のランニングコストは跳ね上がった。この数百万円という金額が、新人タレントの“ギャラ”として成立しなかったのである。
「ブレイクはしませんでしたが、初代の伊達杏子は世界中に衝撃を与えましたよ。当時、海外の技術者たちはホリプロをコンピュータ関連のベンチャー企業だと思っていたくらいで」(同)
その後、伊達杏子は韓国デビューや抜本的なモデルチェンジを経て、昨年ネット上の仮想空間『Second Life(以下、SL)』内のアバター(参加者の分身となるキャラクター)として復活を果たす。
「これは数十万円程度でできることでしたね。主にイベントMCとして活動しました」(同)
SLはデジタルアイドル伊達杏子にとって、これ以上ない舞台だと思われたが、ほどなくしてSL自体から利用者が離れ始め、伊達杏子の名前を耳にすることもなくなっていった。
すでにデビューから12年、低空飛行を続けてはいるものの、伊達杏子はタレントとして、そろそろ中堅と呼ばれるクラスである。
「時期が来れば、また新しい展開を考えますよ」(同)
病気にならず、食費も家賃もかからず、事務所に無断でデキちゃった結婚にも走らない元祖デジタルアイドル・伊達杏子。事務所にとっては意外な孝行娘なのかもしれない。
(編集部/「サイゾー」7月号より)
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