マヌケ飼い主、悪徳業者!アイドル犬に群がる人々(後編)
#アイドル #テレビ #CM #動物
しかし一方、「メディアに踊らされ、アイドル犬として売り出す目的やファッション感覚で、無知なまま犬を飼う飼い主が、ペット業界全体の歪みを生み、悪徳ペットプロダクションの暗躍を支えている」(ドッグトレーナーAさん)との厳しい声もある。
Aさんは、無許可で摘発されたり、経営破綻したブリーダーから犬を救出するボランティアをしているが、「破綻するのは多犬種を扱っていたり、流行で扱う犬種を変えるブリーダーが多い」と指摘する。
長年の品種改良の結果、犬にはさまざまな種類があり、その種類によって、飼育・繁殖・病気予防などの方法に違いがある。1種でも精通するには多くの学習と経験が必要であり、複数の犬種を掛け持ちした場合、先天性疾患があったり病気に感染したり、しつけに問題があったりする子犬を量産する可能性が高くなる。中には「この犬種がはやりだから、繁殖させれば絶対に儲かる」と、そうした問題を抱えた犬を高額で売りつける、マルチ商法まがいの方法で稼ぐ業者もいるという。また、子犬は一箱に数十匹詰められ、ペットショップにまとめて数千円で引き取られると、1匹10万近い値をつけて、ケージに展示される。客には「可愛いですよ、飼いやすいですよ」と、マニュアル通りのセールストーク。こうした悪徳ペットショップの店員は、犬についての基礎的な知識すら持っていないことがほとんどだ。
「犬と家族が、共存するには、飼う犬種に合った飼い方やしつけが必要です。病気予防のワクチンなどお金もかかるのに、きちんとショップやブリーダーをチェックせず、可愛さだけに目が眩んで買う人が多い。流行のミニチュアダックスはもともと猟犬なので吠えるのが当たり前なんですが、『吠えて困る』と相談してくる人がいる」(Aさん)
もくろみ通りアイドル犬になれなかったり、流行が廃れて飽きたり、手に負えなくなってしまった犬は、捨てられるか、動物愛護センターに持ち込まれることになる。中には、「旅行に行くから」という理由でセンターに処分を依頼する飼い主もいるそうだ。
ここ数年、全国で捕獲、保護されてセンターに持ち込まれた犬は、毎年8万匹以上にもなる。そのうち引き取り手があるのは、わずか1割にも満たない。残りは“処分”されることになる。処分を逃れた犬にしたって、けっして安泰とはいえない。野犬、捨て犬の捕獲・抑留は狂犬病予防法に基づいて行われるため、フィラリアなどの伝染病のチェックはされない。そのため、狭いケージに何十匹も押し込まれた中の1匹に感染犬がいると、一気に伝染する率が高いのだ。ゆえに、処分を逃れて新たな飼い主に引き取られたはいいものの、すぐに死んでしまう犬も少なくないという。
飼い主が、メディアに登場する“流行の犬”を、ブランドバッグのように次々と購入すれば、当然、素人ブリーダーや悪徳ブリーダー、ペットショップも人気犬種を“大量生産”し、大儲けを企む。
アイドル犬を頂点としたブームの陰には、無数の不幸な犬たちの亡骸が転がっている。それを知ってしまったら、CMを見て無邪気に「カワイイ!」と頬を緩ませてはいられないのではないだろうか?
(若松和樹/「サイゾー」7月号より)
「アイドルビジネスの裏技」
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