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大きいお兄ちゃんが萌え狂う ショタアイドル「ぴこ」(後編)

pikotochiko.jpgシリーズぴこ2 『ぴことちこ』

前編はこちら

ヒットのからくりはモーニング娘。戦略!?

 7~8カ月にも及ぶ構想の末、ようやく完成したぴこのデザインをブログで公開したのが、第1作目を発売する半年前の06年2月頃。「さっそくネットを中心に火がつき始めて、これは期待が持てると思った」と金子氏は当時を振り返る。しかし、それ以降の道は、決して平坦ではなかったようだ。

「6月21日、我々の間では“屈辱の日”と呼んでいるのですが(笑)、某大型量販店へ営業に行ったんです。そしたら担当者に『クオリティが高いのはわかったけど、売れないと思う』ってアッサリ言われて……。結構ショックを受けて、その後に伺った『とらのあな』のバイヤーさんにこれまでの制作過程の話をぶつけたら、こう言われたんです。『今の話を、ファンにオープンにしたらいい。もしかしたら、エロアニメ界の「プロジェクトX」になるかもしれない』って。そこで、制作が難航している様子とかもブログに全部さらけ出して、『応援してください』というキーワードを必ずつけるようにしてみました」(同)


 それを受け、ネットの某巨大掲示板では、「この火(=ぼくのぴこ)を絶やすな」というファンの応援書き込みが相次ぐ。「初の18禁ショタアニメをコケさせてしまったら、もう二度とこうした作品は作られないかもしれない。僕らが応援しなければ!」という風潮が、ネット上で巻き起こったのだ。

「戦術的にいうと、モー娘。と同じです。『ASAYAN』(テレビ東京)でメンバーのプライベートまで追いかけていたように、細かい情報も常に発信していきました。その流れを汲んで06年7月に始めたのが、ウェブラジオ『あおぞら通信』。ぴことちこをパーソナリティに据え、ここを発信源に2人を実在する存在にしていったんです。だから、『シリーズぴこ』には声優さんとかはいないんですね(笑)」(同)

 この7月で『あおぞら通信』は、ウェブラジオとしては異例の、放送丸2周年を達成。その背景には、綿密に練られたコンセプトと戦略があった。

piko_event.jpg

「当初の目的は、ネット上にコミュニティを作ること。現在はぴこを応援してくれる個人サイトの方々がいるので、そちらに情報が落ちる体制を整えておけば、そこからライトユーザーが存在するmixi内のコミュニティなどに反映される流れができています。ネットでの反応も極力チェックし、ファンが知りたがっている情報を発信できるように心がけています。自由に遊んでほしいので、同人誌といった二次創作も解禁してるんですよ」(同)

 アイドル育成の鑑である「シリーズぴこ」だが、現在の課題は「ライトユーザーに向けた商品展開」だという。

「キャラを見て、ラジオを聴いて、サイトに遊びに来るけれど購買には至らない人たちの食指を動かすことができれば、市場をさらに拡大できるんじゃないかと。9月発売の第3弾『ぴこ×CoCo×ちこ』の新キャラ・CoCoを、本格的な女装少年という設定にしたのも、それを意識したからです。最近は女装少年を指す“男の娘”というジャンルが一般化していますので、ライトなユーザーにも取っ付きやすいかなと思いまして」(同)

 また、秋には18禁PCゲーム『ぴことちこ~ショタアイドルのオシゴト~(仮)』(チィンカーベル)、絵本『ぼくのぴこ~少年詩集(仮)』(長崎出版)の発売も控えているという。ますます広がるぴこワールドだが、気になるのは業界を騒然とさせている児童ポルノ法改定の動き。もしアニメや漫画なども規制の対象にされてしまったら、存続が危ぶまれるのでは?

「もしそうなったら、法に従ってやめるしかないかなぁ(苦笑)。僕らは別に反社会的なことをしているつもりはないので。ただ、ピュアな恋愛を描くという点は徹底しています。だからポルノ作品として一緒くたに見られてしまうと、すごく寂しいですね……」(とっちん氏)

 確かにデキ婚続出のモー娘。よりは、よっぽどピュアかもしれない!? ちっちゃなアイドル・ぴこの戦いは、まだまだ続く──。
(アボンヌ安田/「サイゾー」7月号より)

シリーズぴこ2 『ぴことちこ』

2作目は、“男性向けショタ”だそうです……?

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最終更新:2014/03/03 15:55
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