オシャレ系大規模施設乱立!! 大手ディベロッパーの豪腕(前編)
#企業 #不動産
売上高33兆8586億円(2006年度の財務省「法人企業統計調査」)と、バブル期以来の活況を呈する不動産市場。バブル崩壊以降、一貫して下落を続けていた商業地の公示地価は、世界的な低金利によるカネ余り現象などとも相まって、都心部で02年頃から、全国平均でも昨年から上昇に転じている。
オフィス需要は拡大し、大型複合商業施設も開業ラッシュだ。17年の歳月と、総事業費約2700億円をかけて03年に誕生した六本木ヒルズや、約3700億円の巨費を投じ、六本木の旧防衛庁跡地に昨年完成した東京ミッドタウン、さらにはTBS放送センターを据えて今年3月にオープンした赤坂サカスなどなど……。いったいどこにそんなカネがあるのか不思議なほどの景気のよさだ。
そうした各複合商業施設の特徴、さらにはご大層な開発コンセプトと実際の姿とのギャップについては、この種の商業施設に足繁く通い、ほぼ全制覇を成し遂げている辛酸なめ子氏に「サイゾー」6月号の64~65ページで解説してもらっているので、参考にしてほしい。本稿では、大規模再開発事業において中心的な役割を担う、大手ディベロッパーの実態と、不動産業界の問題点について見ていこう。
不動産業界の上位を占めるのは、“財閥系”と称される、三井不動産・三菱地所・住友不動産の3社だ。最大手の三井不動産は、東京ミッドタウンや東京ディズニーランドなど、多角的な事業展開が特徴。三菱地所は、丸の内周辺の再開発等、手堅い事業方針でそれを追う。3番手、住友不動産は、ツインタワー超高層マンション「シティタワーズ豊洲」など、都心周辺部の再開発で存在感を示す。これに、東急不動産や野村不動産ホールディングスなどが続いている。
これらディベロッパーの主な業務は、事業計画の立案と資金調達、それに用地買収である。しかし、例えば六本木ヒルズを手がけた森ビルは、売上高1600億円、営業利益400億円程度の中堅ディベロッパー。あれほど大規模な事業に必要な資金と用地を、どうやって確保したのか? 金融・不動産業界の内情に詳しい、フリージャーナリストの須田慎一郎氏に解説してもらった。
「以前なら、自社の信用力だけで、ひとつの街を創出するために必要な資金と用地を調達するのは、まず不可能でした。しかし、バブル崩壊以降盛んになった金融テクニック、例えば土地を取得する際、手続きの煩雑な所有権そのものではなく、比較的売買が容易な信託受益権(土地や、そこに建つ建物等から発生する利益を受け取る権利)だけを買い取る手法や、カネを集めやすいシステムであるファンドを多用することにより、それが可能となったのです」
(松島拡/後編へ続く)
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