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ロハスブームをめぐる商標権問題とビジネス活用

mituibussann.jpg環境への取り組みをHPでアピールする三井物
産。その腹のうちは果たして?

 90年代にアメリカで生まれた健康や環境生活に強い関心を示すライフスタイル、ロハス(LOHAS/Life Of Health And Sustainable)。その流行は日本にも飛び火し、今や国内でのロハス市場は10兆円超と言われ、さらに10年後には20兆円にも到達するという予測もある。

 そんな中、05年に、ライフスタイル誌「ソコトコ」を出版する木楽舎のグループ企業トド・プレスと三井物産が「ロハス(LOHAS)」を商標登録し、ライセンス事業に乗り出した。さらにトド・プレスは、シャープが販促ツールに無断で「ロハス」の名称を使用したことに対して、商標権侵害の警告を行った。それに対し各所から「商標登録により締め付けを行うと、ロハスという概念自体が広まらない」などとする非難を浴びたことで、現在は商標登録しているものの、誰でも自由に使用できるという声明を発表。こうしたロハスをめぐるビジネスについて、『ロハスビジネス』(朝日新書)の著者・大和田順子氏に話を聞いた──。


   *    *    *

 「ロハス」という言葉が、日本でも注目を集めるようになったのは04年のこと。その翌年には、日経新聞が発行する消費・流通・マーケティングの専門紙「日経MJ」の『上半期ヒット商品番付』において「西の大関」にも選ばれています。その普及に多大な貢献をしたメディアが「ソトコト」という雑誌でした。しかしその翌年、トド・プレスと三井物産は「三井物産がロハスの商標でビジネス」と題する記事が日経新聞に出たことで、ロハスに共感していた人たちに水を差すこととなりました。

 もちろん、商標取得は決して悪いことではありません。実際、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏が提唱する「MOTTAINAI(もったいない)」については、伊藤忠がその商標を取得しています。

 結局、トド・プレスと三井物産が世間からバッシングを浴びたのは、まず何より「ロハス」という言葉の影響力が大きかったこと。加えて、両社の商業的な行動に対して、「ロハス層」がどんなリアクションを起こすのかを十分把握して対応しなかったことが、大きな波紋を呼ぶ結果になってしまったのだと思います。

 当然「ロハスは金儲けになる」と高らかにうたってしまうと、反感を抱く人は続出するはず。しかし、企業による「ロハス」な活動によって、その会社も潤い、さらに地球や地域社会のためになるのなら、それは非常に喜ばしいことです。

 たとえば、大手ハウスメーカーの積水ハウスでは、CSR活動の一環として、本社が建つ敷地内に野菜畑や稲田、雑木林を造り、農産物の栽培などを体験できる憩いのスペースとして開放。この取り組みは、ヒートアイランド現象の対策になる一方で、同社の企業価値を高めることにもつながっています。「ロハスビジネス」は、舵取りさえ誤らなければ、企業にも環境にも大きな指針となるだけでなく、ロハスの考え方は地域活性化にも活用できると新たな注目を集め始めています。(談)
(大崎量平)

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大和田順子(おおわだ・じゅんこ)
LOHASビジネスプロデューサー。ロハス・ビジネス・アライアンス共同代表。日本で最初にLOHASを紹介する記事を執筆。著書に『日本をロハスに変える30の方法』(講談社)、『ロハスビジネス』(朝日新書)など。

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最終更新:2008/06/13 12:11
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