格差社会を偉そうに憂う 朝日は「非正規雇用」がお好き
#新聞
大手企業の偽装請負問題の追及など、紙面上では労働者の味方を気取っている朝日新聞だが、社内ではそんな主張などどこ吹く風といった労働問題を多数抱えている。たとえば、非正規社員の増加は、格差社会を助長する大きな要因だが、この問題に懸念を示してきた朝日新聞社内が「6000人弱の従業員のうち、3分の1は非正規労働者」(朝日新聞関係者)という状況なのだ。
しかも、本誌2月号でも詳しくレポートしているが(記事参照)、英字紙「ヘラルド朝日」編集部で働いていた複数の非正規労働者が原告となり、「事実上、会社の指揮命令下にあり、労働時間も長時間拘束されていたのだから、朝日新聞社は雇用関係を認めるべきだ」という旨などを訴える民事訴訟を起こしたことがある。原告の主張によれば、朝日新聞社は社会保険、労働保険や厚生年金などの負担を強いられない業務委託スタッフを、正社員同様に働かせていたというわけだが、こうした「偽装委託」は同社内で蔓延しているという。
「正社員と業務委託スタッフの年収の開きは3〜4倍ありますが、両者が同様の業務をこなしているような部署は複数ある。そもそも新聞や雑誌の制作業務は、スタッフが少なからず会社の指揮下に入らなければ、うまく回らないでしょう。そうした実情を無視して、正規雇用を避け、業務委託契約を結ぶのはどうかと思う」(前出・関係者)
さらに驚きなのが、派遣社員に関しても、違法すれすれの扱いをしているらしい。朝日新聞社では、管理事務的な業務を子会社である朝日新聞総合サービスからの派遣社員に任せている。こうした派遣社員を受け入れる場合、労働者派遣法では最長3年までしか同じ業務を任せられないのだが、同社では実質的にそれを無視しているという。
「ある部署の管理業務は、ここ4年以上、ずっと派遣社員がやっていますからね。派遣社員が変わることはあるけど、こなす業務は一緒です。契約書上だけ違う業務を行っていたり、3カ月以上のクーリング期間(この期間を空ければ、同一業務でも新規に派遣社員を受け入れられる)を置いていることにするなどの抜け道をつくっているのでしょう」(前出・関係者)
昨年の参院選の最中、朝日新聞紙面では選挙の争点でもあった格差問題について、「小渕政権が99年、労働者派遣法を改正した。正社員の雇用を守るため『原則禁止』だった労働者派遣が『原則自由』になった。こうした派遣をはじめとする非正社員は90年には働く人の5人に1人だったのが、現在は3人に1人にまでなった」(07年7月2日付)と分析し、自民党政権下で続いてきた規制緩和・構造改革路線に疑問を投げかけている。だが、派遣社員の恩恵を享受し、社内の3人に1人を非正規社員にしたのは、何を隠そう朝日新聞社自身だったのだ。
これだけではない。朝日新聞社は今年4月1日から、業績不振が続いた出版局を別会社「朝日新聞出版」として切り離し、この新会社正社員の給与を大幅に下げるというリストラを行った。ところが、この正社員は、そもそもは朝日新聞本体の正社員ではなく、出版局に契約社員として勤めていた者や外部から招き入れた人たち。彼らの給与は中堅出版社並みに抑えられた一方で、朝日新聞出版に残った朝日新聞社正社員は出向扱いなので給与は据え置き。30代で年収1000万円代はざらの高給取りなのだ。よって、朝日新聞出版の正社員組と、朝日新聞社からの出向組との間には、これまた倍近い所得格差が生まれているという。
「こうしたねじれを良しとしておきながら、偉そうに労働問題を語るなって感じですよ」(朝日新聞出版社員)
灯台下暗しなのか、単なる二枚舌なのか。いずれにせよ、朝日新聞社に見られる、こうした筋を通さない姿勢が、新聞不信、新聞離れの一因になっているのではないだろうか。
(編集部)
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