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無料版ワシントン・ポストに見習うべき日本のダメ新聞

ns_wpost.jpgビジネスマンは「エクスプレス」よりも、
「ワシントン・ポスト」を手に取っている

 アメリカでは、街角に新聞の自動販売機があるのは見慣れた風景。しかし、首都・ワシントンDCでは、世界的に有名な「ワシントン・ポスト」の自販機横に、同紙が2003年から発行している無料紙「エクスプレス」のラックが並んでいる光景を見かける。有料のワシントン・ポストの部数をむざむざ落としているようにも思われるが、在米経験の長い日本人ジャーナリストは、「ワシントン・ポストの部数に影響はない」と一笑に付す。

 というのも、両紙では読者層が異なるのだ。ワシントン・ポストは、政界関係者やビジネスマンが購読層だが、一方のエクスプレスは、一般労働者や主婦、学生など、新聞を積極的に読まない層が中心。内容も、前者は筆力のある専属記者が書いた長文記事が多いのに対し、後者はAP通信が配信した記事を短く掲載しているのみ。

「エクスプレスは、英語が苦手な私でも読みやすい(笑)。しかし、充実した情報を手に入れたい人は、50セントを出し、50ページを超えるワシントン・ポストを買うというわけです」(同)

 翻って日本では、無料紙の発行は皆無に近い。02年から無料紙「TOKYO HEADLINE」(ヘッドライン社)が発行されてはいるが、あまり知られておらず、追随の動きもない。だが、需要がないのではない。全国に張り巡らされた宅配システムを持つ大手紙の抵抗が強いことが、大きな要因なのだ。

「日本の宅配システムは、世界でも類を見ない仕組み。日本の新聞社はこの販売網によって巨大な企業体に成長したが、今では逆にその維持に汲々としている。販売網を損ないかねない無料の『TOKYO HEADLINE』に対しては、大手紙が共同通信と時事通信に圧力をかけて国内ニュースを配信しないようにするなど、妨害の動きもあった」(大手紙中堅幹部)

 また、日本の新聞は、記事の魅力の低さから、無料紙が発行されれば読者離れは不可避と見られる。米国では、全国の地方紙で筆力を鍛えた記者たちが、ワシントン・ポストなど世界的な影響力を持つ有力紙に移籍してくる。それらの記者が独自の視点で記事を執筆することで、他紙との明確な差別化を図っているのだ。一方日本の大手紙では、一括採用された社員記者が「客観報道」という名の下に書いた“金太郎飴”記事で紙面が埋め尽くされ魅力は低い。

「欧米紙では、有料紙の魅力を向上させるために量と内容の充実化を図っているが、日本では『高齢化した読者対策』と称して『デカ文字』なる活字の巨大化を図って情報量を減らすなど、ナンセンスなことばかりしている」(前出の日本人ジャーナリスト)

 日本の新聞業界の迷走は、いつまで続くのだろうか?
(千代田文也)

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最終更新:2008/06/06 18:54
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