警察利権に「暴力団」は必須!? やくざとメディアの関係(前編)
#事件 #雑誌 #警察
任侠世界の内情を伝えることで、男性読者から根強い支持を受けている「実話誌」。そんな雑誌で活躍し、やくざ社会の実態と彼らの素顔を知る記者たちが集結。暴対法改正の影響や、警察とやくざとの「本当の関係」、そして、やくざとの正しい付き合い方を語る。
[座談会出席者]
A…40代ベテランライター。複数の実話誌に寄稿
B…30代中堅ライター。若者向け雑誌を中心に執筆
C…20代駆け出しライター。夕刊紙記者を経てフリーに
――今回は、「暴力団社会の裏話」を、いろいろお聞きしたいのですが。
A まず言っとくとね、やくざは「暴力団」と呼ぶと怒るから。これはね、警察用語なの。
B しかも裏話があったとしても、ここでは言えないでしょ。取材していても、書けることのほうが少ない世界だし(苦笑)。
C 我々の書いた記事が原因で、媒体に抗議が来るだけではなくて、「この記事を書かせたのは、あの組だ!」とか言って、組同士の抗争に発展しやしないかとまで気にしますからね。まぁ、最近は、抗争そのものが減っているのは何よりだけど、抗争がある時のほうが実話誌は売れるから、複雑ですよね。
――今は抗争はないんですか? なんかしょっちゅう報道されている感じが。
A 同じ報道を繰り返したり、小競り合いまで報道するから、視聴者は抗争が頻発しているって刷り込まれるよね。今は、最大組織の六代目山口組が抗争自体をご法度にしている。最近の抗争事件といえば、昨年、複数の死傷者を出した九州の道仁会と九州誠道会の問題くらいでしょ。
――暴力団対策法などの施行で、彼らは社会的にはどんどん存在しづらくなっています。皆さんから見ても、勢力が衰えている感じはしますか?
A それはあるよ。この夏には、暴力団の公共事業への食い込みを防止することなどを目的とした暴対法改正が行われる見通しだしね。この改正には、これまで抗争時に限られていた、被害に対する親分らの「使用者責任」を、日常的な行為における子分の不始末に対しても負わせるということや、「放免祝い」(出所祝い)の受け渡しの禁止なんかも盛り込まれている。
B ただ、そんなものは、いくらでも抜け道はあるだろうね。
A そもそもみかじめ料の要求を規制する暴対法は、「山口組対策法」ともいわれていて、80〜90年代になっても勢力を拡大し続ける山口組を潰そうというもくろみで作られたんだ。言いだしたのは石附弘というエリートの警察官僚で、細かな議論や検証もせずに性急に作られたわけ。
B もっと言うと、アメリカの圧力ですけどね。日本のマフィアは堂々としすぎ、国は何をやっているのかってことで。政治家とのつながりも、昔はオープンだったし。
C でも、法規制でやくざが動きを取りづらくなったことで困ったのが、現場の警察官だという話もある。捜査に欠かせない地下情報は、やくざとの持ちつ持たれつの関係から入手していたわけですから。昨今の警察の捜査能力の低下とは、無関係ではないですよ。
A それに、暴対法施行から15年以上たったんだけど、「暴力団員」の数はほとんど変わっていないんだ。警察が構成員・準構成員として把握しているだけでも8万人以上いるし、暴対法対策で擬装している事実上の暴力団員を入れると、増えているかもしれないという見方すらある。
C 結局、シノギ(商売)に窮して弱小化した団体が山口組の傘下に収まらざるを得なくなり、山口組の寡占化を進めたんだから皮肉なものです。
(編集部/中編へ続く)
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