倖田なき後はEXILE頼み!? 音楽業界に未来はあるのか(前編)
#音楽
市場が縮小し続ける、CDを中心とした音楽ソフト業界。ミリオンセールスを記録できるアーティストはほとんどいないし、音楽配信の利益も焼け石に水!? お先真っ暗といわれるこのギョーカイに光明は見えるのか? 業界関係者が集まり、マジメに議論してみたが……。
[座談会出席者]
A…大手レコード会社幹部
B…大手レコード会社宣伝マン
C…中堅レコード会社制作マン
D…ベテラン音楽誌編集者
──最近の音楽業界で話題になっていることはありますか?
A そりゃ単純にCDが売れないということでしょう。不景気です。
C 売れないですね。実際、音楽ソフトの売り上げは9年連続で減少中です。日本レコード協会の発表によると、07年は前年比96%の3911億円。
D 確かにレコード会社の人がおごってくれることは少なくなりましたね。出版業界も同じくひどいんですけど。
B うちだって毎月毎週のように予算の縮小が話題になってますもん。
──今のメジャーメーカーの景気は、どんな感じなんですか?
A ユニバーサル、エイベックス以外は、どこも厳しい状況なんじゃない? ワーナーは派手なリストラをして、少し落ち着いたところ。今はコブクロが好調だから大丈夫なのかな。
D ワーナーは人を減らしすぎて、逆に今は、人を入れようとすごい躍起になってる。いい人材を紹介してくれた社員には、金一封が出るとか。でも、本国(アメリカ本社)が利益を吸い取っちゃって、日本社員の士気は低下するばかり。「アメリカのために働かされているみたいで、悔しい」と嘆いている社員がいましたよ(笑)。
B この春に、TBS脇にある赤坂ビズタワーに引っ越したEMIは、去年東芝との資本関係を解消するとき大リストラを敢行したものの、ビズタワーのワンフロアには社員が収まりきらず(笑)、再びリストラをするだろうという噂。社屋に合わせて人員カットなんて、社員もたまったものじゃない。ソニーもリストラ中ですね。担当者1人で、制作から宣伝までを回さなきゃならないような部署もあるそうです。
D コロムビアも大規模なリストラをし、ビクターも赤字増大が止まらない。
C エイベックスも実際は厳しいと聞くけれど、どうなんですか? 浜崎あゆみは以前の勢いもないし、倖田來未も今年1月の羊水発言騒動で売り上げが急落しているし、もうEXILEが最後の砦。
B 聞いた話ですけど、倖田の売り上げは、来期の予算計画に入っていないみたいです。もう売れないだろうというのが、前提になっています。
A ただ、あの失言騒動は、かわいそうだったね。
B あれは生放送での発言じゃなく、ラジオ局側の配慮も足りなかったわけで、倖田個人が責められるのもどうかという意見もあるんですよ。
D タイアップもあるし、CMの違約金とか、大変だったんじゃない?
B タイアップの契約金は、倖田が業界トップクラスでしたからね。億まではいかないけど、浜崎より高い。今はなんとか倖田を復帰させるためのシナリオを、スタッフが作っているみたいです。復帰コンサートでどういう発言をさせるとか、メディアにはどういう論調でフォローしてもらうかとか。
──EXILEがここまで大きくなった裏には、何があったんでしょうか?
B リーダーのHIROは、完全なビジネスマンなんですよ。自らが所属事務所の社長なんだけど、社の朝礼でもオンエア回数や一日の売り上げ、店頭在庫消化率の話から入りますから。そんじょそこらの営業マンよりも営業マンっぽい。あそこまでいくと立派です。
C ただ、浜崎や倖田と違って、EX ILEはHIROの会社の所属アーティストだから、利益は基本的に折半。エイベックスとしては、めちゃくちゃおいしいというわけじゃない。
B マネージメントも自前でやっていれば、投入した宣伝費がそのまま利益につながるんだけどね。でも、HIR Oの会社とエイベックス上層部は、かなり仲がいいからね。ついでにいえば、昔はちょっとヤバい筋とも仲が良かったとか(苦笑)。今は切れているといわれていますけどね。いずれにせよ、エイベックスにとっても、EXILEがなかったら厳しいと思いますよ。黒字の部署、少ないですもん。
A 逆に言えば、アーティストのマネージメントも自社でやっていない限り、もうレコード会社はやっていけない。EMIやビクターが厳しいのはそういうこと。エイベックスは映画製作にまで手を出しているでしょう? あれは戦略ミスとか言われているけど、タイアップがないとCDが売れない、でもタイアップ先は限られている。それならタイアップ先自体を自前で作っちゃおうという側面もあるんです。
D 芸能プロの力が、どんどん強くなってきていますからね。今は芸能プロが、雑誌やテレビ局へのプロモーター部隊まで持っている。もうレコード会社は単なる流通屋になってて、必要性が薄れちゃっているんですよ。
(「サイゾー」5月号より/中編へ続く)
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