トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 社会  > K-1関係者も度肝を抜かれた! 「ガチンコ不良バトル」の舞台裏

K-1関係者も度肝を抜かれた! 「ガチンコ不良バトル」の舞台裏

out_top.jpg大会は見事に成功。観客も報道陣も多数詰めかけた

 本サイトでも既報してきた(記事参照)前田日明が立ち上げる、新しい総合格闘技大会『THE OUTSIDER』が、ついに3月30日に開催された。全国から不良や喧嘩に自信のある若者たちを集めて、リング上で戦わせようという、この劇画のような大会の模様を特別レポートする。

out_harigami.jpgまさに、この大会にふさわしい(!?)注意書き

 PRIDE問題以降、苦境に立たされている総合格闘技業界。『DREAM』『戦極(せんごく)』と新たなメジャー大会が旗揚げしたこの春、業界のご意見番「格闘王」前田日明はまったく違う角度から業界刷新に打って出た。

 3月30日に開催されたアマチュア大会『THE OUTSIDER』だ。テーマは「俺は喧嘩が強い、と思っているヤツはリングに上がって試合してみろ」。筋金入りのアウトローたちの中から、磨けば光る”ファイターの原石”を見い出そうというわけだ。

 桜庭、魔裟斗、山本KIDクラスのスター選手になれば、ワンマッチで千万円単位のファイトマネーが保障される。喧嘩、暴走、カツアゲに明け暮れる不良たちの中から、身体ひとつで”闘いの花道”を駆け上がるヤツが登場すれば、それはまさに闘魂ドリーム。

 はたして大会はいかな盛り上がりを見せたのか? 舞台裏も交えてレポートしよう。

out_sakai.jpg一見さえないサラリーマン酒井選手も、勝てば女
性にモテモテ

 会場はお台場にほど近い『ディファ有明』。試合開始は午後3時だが、選手たちは午前中から集合。九州や東北の選手は早朝の新幹線でやってきたようだ。12時30分からのルールミーティングで一堂に会したアウトローたちは、目つきギラギラ。ピリピリムードの臨戦態勢。「格闘技は殺し合いじゃない。負けたらもう一度挑戦すればいい」と説いてきた前田の声は聞こえているのか、いないのか。

 各コーナーに別れた控え室には、セコンドも含めて世代を超えた不良界の有名人がゴロゴロ。若い選手たちは挨拶回り、年かさの不良OBたちは昔の因縁を笑顔で解消、などというアウトロー外交も展開されていた。

 開場は午後2時。入り口で金属探知機のボディチェックを受ける観客の姿が、大会の特異性を物語っている。入場者数1,521人の超満員札止め。当日券が手に入らず帰った人も5~60人いた。リングサイドにはK-1の小比類巻貴之、「サイゾー」で連載する毛の商人・高須基仁、なぜか角川春樹など、有名人もチラホラ。ざっと見渡して観客席の不良密度は約4割といったところ。ジャニーズよろしく選手の名前を切り張りした手製のウチワを持っている一団もいるが、ガラ悪すぎ。

out_urita.jpg最もメディアからの注目度の高かった瓜田選手も
見事勝利

 午後3時。定刻通りに試合開始。「ハマの狂犬」黒石高大(21)vs.「山口の暴走戦士」秋山翼(24)。吼えまくる黒石に冷静な秋山が「プロレスでもそんなにきれいに決まったの見たことねえぞ」の見事なジャーマンスープレックスを炸裂させて、会場ドッカン! そのまま秋山がスリーパーで一本勝ちすると、黒石の仲間と思しき若者たちがリング下に殺到。なかにはリングインして秋山に襲い掛かろうとするヤツまで。すかさず止めに入ったのが、プロの世界では凶暴で通る「大和魂」エンセン井上と「平成のテロリスト」村上和成というのが、逆にガチだ!(会場のアチコチに私服の警察官も潜んでいたらしいし)

 格闘技の興行は、第一試合で「会場をあっためる」ことができれば、その後の盛り上がりが格段に違う。その意味で、まさに演出を超えた最高のオープニングだった。3分2Rのスタイルはテンポがよく、22試合も決して多過ぎという感じはしなかった。

 これだけ不良色が強いと、真面目そうな選手が目立つというのも面白かった。現役弁護士の柔術家・堀鉄平(32)やサンボを基礎にするサラリーマン酒井知一(33)が見事な一本勝ちを収めると、何か嬉しいのはなぜ? ただ、バックステージで酒井がラウンドガールにモテてているのを見たときは、イジメたくなった。確実に秒殺されるだろうけど……。

out_yoshinaga.jpg見事な和彫りと戦いぶりを見せてくれた
吉永選手

 見事な和彫りの入った吉永啓之輔(24)のインパクトも凄かった。ルックスもいいし技術もある。プロ向きだと思うが、日本じゃ、和彫りでは地上波テレビに映れないらしいから、思い切って米UFCに挑戦してみるのはどうだろうか。

 伝説の暴走族『ブラックエンペラー』の創始者を父に持ち、自らも小学生のときから喧嘩三昧。しかも極道歴10年、うち収監3年という極めつきの経歴を持つ「新宿のカリスマ」瓜田純士(28)に、試合前のロビーで話を聞くと、こんな言葉が返ってきた。

「28年間の”垢”を落としたい。1,500人の前でボコボコに殴られれば、過去の自分とサヨナラできるような気がするんですよ」

 が、試合は踵の攻撃で相手の唇に深い裂傷を負わせ、ドクターストップのTKO勝ち。格闘技の技術など関係なく、痩せた身体に染み込む”修羅場の違い”が垣間見えた。

out_katou.jpg最優秀選手に選ばれた加藤選手。次回
参戦もあるのか?

 メインイベントは、まさにこの大会を象徴するストリートファイト最強決定戦in東京。加藤友弥(23)vs.与国秀行(31)。かたや夜櫻會三代目総長、こなた同世代で知らぬ者のいない伝説の喧嘩屋。双方、250人の大応援団までがっぷリ四つ(客席の配置に非常に気を遣っていた)のクライマックス。互いの身体能力の高さ、反射神経、アグレッシブな姿勢、プロ選手にも勝る迫力がヒシヒシと伝わってくる。レベルの高い喧嘩は”試合”として成立することを見せてくれた。 「初めてリングに上がったけど、俺は欲求が強いから、格闘技を極めたいと思います」。勝利を収め大会MVPの「前田日明賞」を受賞した加藤は、プロ入りにも前向きな発言をする。楽しみな逸材、いきなり登場だ。

 観戦していたK-1関係者が言う。 「不良の喧嘩ってどんなにすごいんだろう、と妄想が膨らむ。それがアマチュア大会だというのにチケットの完売に繋がった。格闘技興行には、未知なる物への幻想や期待感が非常に重要なんだと、改めて痛感しました。そこまで計算していたとしたら、やっぱり前田さんはプロデューサーとしてもすごい人です」

 7月には第2回大会が行われる予定だ。全国から未知の強豪=喧嘩屋が集まってくるのは必至。今からワクワクするぞ。
(文・写真=山崎淳/※文中敬称略)

【関連記事】 前田日明の新たなる野望 不良を集めた格闘技大会開催!

最終更新:2009/03/07 10:38
ページ上部へ戻る

配給映画