KA、JK、PK……おかしな『KY式日本語』の世界
昨年、「KY=空気が読めない」が流行語大賞候補に選ばれ、世間的にその存在が認知されたローマ字略語。今年2月にはローマ字略語を「KY語」と称し、460もの語を紹介した『KY式日本語』(大修館書店)なる本まで発売された。収録語は、すべて実際に使われているものらしいが、「KA(ケツアゴ)」「JK(冗談は顔だけにして)」「PK(パンツ食い込む)」など、聞いたことのないものばかり……。これ、ホントに使われてるの!?
「でっち上げなんてひとつもないよ! 『もっと明鏡』キャンペーン(解説参照)の応募作品を一語ずつネットで検索し、使用頻度などをリサーチした上で掲載しています。でもKY語は寿命が短く、すぐに死語になるので、疑われるのもわかります」(編著者の北原保雄氏)
KY語は内輪同士の遊び感覚で使われるため、一般に浸透する語は少なく、すぐに消えてしまうのだとか。北原氏は、そんなKY語がたくさんあることを知って興味深く思い、本にまとめるに至ったそうだ。ただ、KY語を無自覚に乱用するのは、由々しき事態だという。
「KY語は、たとえば『IT』と言っても、『アイス食べたい』なのか『アイス食べる?』なのかわからない。だから、KY語を多用していると、コミュニケーションがアバウトになってしまう危険性があるんです。本書で勉強し、無理にKY語を使う必要はありませんよ。言葉の遊びです」(同)
北原氏は、収録KY語自体よりむしろ実用例の部分を読んで、ププっと笑ってほしいそう。KY語に疎い諸君でも、十分楽しめる1冊だ。
(小石川光希/「サイゾー」4月号より)
『KY式日本語─ローマ字略語がなぜ流行るのか』
編著/北原保雄 編集/「もっと明鏡」委員会 発行/大修館書店 価格/714円(税込)
読者に新しい日本語の意味を定義づけてもらうキャンペーン「第2回『もっと明鏡』大賞 みんなで作ろう国語辞典!」へ寄せられた語(4万4045件)の中から厳選されたKY語とネットから拾ったKY語が、収録されている。累計部数18万部(2月末現在)と好調な売れ行き。
北原保雄
1936年生まれ。文学博士。筑波大学名誉教授(前筑波大学学長)、独立行政法人日本学生支援機構理事長。主な著作は『問題な日本語』シリーズ、『明鏡国語辞典』(すべて大修館書店刊)など。趣味は能・狂言。お気に入りのKY語は、「お酒はJA(人生の味)」。
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