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動物商が批判覚悟で禁断の“動物の値段”公開!

20080314_doubutsu.jpg『動物の値段』白輪剛史/1470円
ロコモーションパブリッシング

 動物園や水族館の動物に、おいくら万円の値段がついているのか、想像してみたことがあるだろうか?

 ライオンの赤ちゃん45万円、シャチ1億円、シーラカンス3億円……といった具合に、知られざる輸入野生動物の値段から、「プレーリードッグは大型バキュームで捕獲」「キリンは首を折り曲げた状態で、輸送艦に入れる」といった入手・飼育法までを愛情たっぷりに明かした『動物の値段』が、10月1日に発売された。同書によれば、「動物の希少性が価格に跳ね返り、違法取引が横行する原因になる」などの理由から、これまで動物に値段をつけることはタブー視されてきたという。トカゲ好きが高じて動物商(動物園やペットショップなどに動物を卸す輸入卸業者)となり、爬虫類の輸入会社レップジャパンを経営する著者の白輪剛史氏に、発売前、出版の経緯を聞くことができた。

「動物売買というとイメージが悪いため、環境保護団体などからクレームが来ることは覚悟の上でこの本を出しました。生息数や入手・輸送の難易度、飼育の難しさなどから、動物の値段は決まります。その値段から見えてくる動物の価値を認識してもらい、動物売買の奥深さを一般の人に知ってほしかったんですよ。また規制が厳しくなり、現在は地球上に生息する哺乳類の80%以上が、日本へ輸入できません。どうせ輸入されないのなら値段を公表してもいいかと思い、輸入禁止の動物を中心に、掲載しました」

 商業目的での野生動物の輸出入は、世界各国で年々規制が厳しくなっている。日本でも92年、国内の野生動物商取引を規制する「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が施行され、ワシントン条約記載種の輸出入が禁止された(ただし施行以前に、すでに日本国内で飼育されていた個体が繁殖した場合に限り、環境大臣が発行した「登録票」があれば、国内間で取引可能)。そのため今、動物商は危機的状況にあるという。

「動物商は『金儲けのために動物を捕獲しやがって』と非難されがちですが、保護団体より我々のほうが真剣に動物保護を考えているんですよ。だって動物が絶滅しちゃったら、死活問題ですから。実際弊社でも、野生動物保護のために寄付を行っています。実は保護団体の中には、複数の保護団体を兼任しているところもあると思われ、そうしたところは扱う絶滅危惧種が増えるにつれて手が回らなくなり、各個体についての知識が薄くなってしまうのが現状です。保護の仕方を間違えて、逆に絶滅危惧種の個体数を減らしてしまったなんて事例も聞きますし。そんな彼らが感情論だけで保護を訴えるよりも、絶滅危惧種の生態を熟知している我々動物商が保護したほうがいいと思うんです。だから、私は保護団体に話し合いに応じてくれるよう何度も呼びかけているのですが、なかなか応じてもらえません」

 このように取材では熱く語ってくれた白輪氏だが、05年、ワシントン条約記載種であるホウシャガメの登録票を取得するため、環境省に虚偽の申請をしたことで種の保存法に触れ、『動物の値段』の発売と同時に、ナント“塀の中の人”となってしまった! 後日、取材のお礼をするべく獄中の白輪氏に手紙を送ったところ、「反省しています。トカゲたちが恋しい……」との返事が。罪をしっかり償い、白輪氏が1日も早く大好きな爬虫類に触れられることを、本誌は祈っております! 
(遠藤麻衣)

『動物の値段』
これまでタブーだった野生動物の値段や入手・飼育法が、茶目っ気たっぷりに解説されているほか、「へぇ~」な知られざる動物商の苦労話も記されている。コンパにも使えそう!?(白輪剛史/ロコモーションパブリッシング/1470円)

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最終更新:2008/07/28 19:48
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