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コント番組を殺した視聴者の“声”と局の“自主規制”(前編)

20080313_cont1.jpg『笑う犬の生活』(上)と『リチャードホール』
(下)

 近年、『8時だョ!全員集合』(TBS/69〜85年)や『オレたちひょうきん族』(フジテレビ/81~89年)などに代表される、バラエティ番組の本流ともいえるコントバラエティが、急激にその数を減らしている。現在、地上波で全国放送されているのは、プライムタイムの(しかも芸人でなくアイドルメイン)『SMAP×SMAP』(フジテレビ)だけで、そのほか深夜枠の『コンバット』(同)や『サラリーマンNEO』(NHK)など、数えるほどになってしまった。

 かつては隆盛を誇ったコントバラエティが、ここまで数を減らしてしまったのは一体なぜなのだろうか? その要因のひとつとして、まず注目しなければならないのが、局による番組ガイドラインの強化。つまり、自主規制による笑いの表現の収縮である。

「もちろん番組への苦情、クレームなんかは昔からありました。特にテレビ業界に“ヤラセの笑い”を知らしめた『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ/85~96年)や、裸の若い女性が出てきたりする『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS/86~92年)なんかは、放送すれば必ず苦情が来ていたと聞きます。でも、当時はそんな視聴者の意見に、制作者側も過剰反応を示していませんでした」(局関係者)

 それでは、一体いつから局の自主規制が厳しくなったのだろうか?

「96年4月に、『子どものいじめを助長しかねない』との理由から、日本PTA全国協議会が『ダウンタウンのごっつええ感じ』に内容改善を求め抗議したんです。世間ではいじめ問題が騒がれていた時期だったので、この一件は結構大きく報道されました。これだけなら大丈夫だったんでしょうけど、翌年6月に酒鬼薔薇聖斗が逮捕されてから、青少年へのテレビの影響というものが本格的に議論されるようになったんです」(同)

 そして、決定的だったのが98年1月に黒磯で起こった中学生徒が女性教諭を刺殺した事件だったと前出関係者は言う。刺殺した少年が、ドラマ『ギフト』(フジテレビ)で、主人公がバタフライナイフを使っているシーンに憧れたと供述したことが報道されると、当時同ドラマを再放送中だったフジ系列の東海テレビは放送を即中止。マスコミは「少年がドラマの影響で人を殺した」などと報道を行った。この事件を境に、各局は表現の自主規制を強めていったのだ。

 また、企業コンプライアンスの大切さが叫ばれるようになったという社会背景も関係している。消費者の声に過敏な反応を見せるスポンサーや広告代理店が、番組制作に対して大きな影響力を発揮しているという現実があるからだ。
(テルイコウスケ/後編へ続く

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最終更新:2013/02/07 14:46
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