前田日明の新たなる野望(後編) 「あしたのジョー」は見つかるのか?
#イベント #格闘技 #THE OUTSIDER
「格闘王」前田日明が腕自慢の不良たちを集めて開催するアマチュア格闘技イベント『THE OUTSIDER』(以下、アウトサイダー)。前2回のインタビューで、大会のテーマ、求める人材、プロ格闘技界の現状などを聞いてきた。ラストとなる今回は、大会の将来的な展望。そして、前田から出場希望者への熱いメッセージだ。
――すでにアウトサイダーへの応募者がいるそうですが。
前田 父親がブラックエンペラー(日本最大の勢力を誇った暴走族)の創設者で、本人も16歳で東京を制圧したヤツとかね。鑑別所や少年院に入ったことがあるヤツも多い。
――聞いただけで、すごそうですね。
前田 現在指名手配中、暴力団の構成員、薬物中毒者なんてのはマズイけど。どんどんヤンチャなヤツラに集まってきてほしいよ。
――もっとすごいのが来るんですか?
前田 まあ、まだ1回目だから「どんなことが、始まるんだ?」と様子見してるヤツも多いんじゃないかな。3回ぐらいやれば、バッと応募が増えると思うんだよ。
――最初から、継続して開催していくことを決めているんですね。
前田 1回だけ花火を打ち上げても仕方ないでしょ。何事も試行錯誤を繰り返して理想形に近づいていくわけだから。とりあえず走り出してね。細かいことは走りながら調整していけばいい。大切なのは走り続けること。たとえば、自動車だって売り出してから不具合が発覚することもある。どんなに研究や実験を繰り返しても、シミュレーションと現実は違うわけだからさ。
――有望な選手は継続参戦させて、プロの世界に導いてやるということですか。
前田 そうだね。ソイツの持っているカリスマやスター性は一試合で見えるけど、格闘技の才も必要だから。アマチュアで違うタイプの選手と何試合かさせて、対応力を見たいな。勝ったり負けたりでいいから、その試合から何かを吸収できるのが才能なんだ。戦績じゃなくて中身が大事。俺はそれを見るよ。
――そのためにも継続が大切だと。
前田 1回目でダイヤの原石が見つかるかもしれないし、100回やってもダメかもしれない。でも、俺は信じているんだよ。世間や大人の矛盾に反発してグレたヤツらの中に、きっと”あしたのジョー”がいるって。
――いいですね。夢があります。そんなプロ選手がアウトサイダーから登場すれば、大会自体への注目度も高まりますしね。
前田 世間から冷たい目で見られていたヤツが、プロの格闘家で成功すれば憧れの目で見られる。高額なギャラももらえるとなったら、同じ境遇のヤツも考えるでしょ。真っ当な生活を諦めていたヤツだって、万引き、カツアゲ、強盗やって少年院入るより格闘技でプロを目指そうと。そういう意識を持った時点で、そのコは更生していると思うんだよね。
――ただ、不良の大会というと、それこそ世間の風当たりが強いと思います。下世話な話、スポンサーも付きづらいでしょう。運営的な障害はないのでしょうか?
前田 アウトサイダー自体で利益を上げようとか、イベントとして儲けようなんて気持ちはまったくないから。あくまでアマチュアの大会なので、最低限の運営資金でも回数をやっていくことが大切だと思ってるんだ。大会の趣旨に賛同してくれる人や会社が、「MVP」や「ベストバウト賞」ぐらいはスポンサードしてくれると嬉しいけどね。選手のモチベーションも上がるし。
――どちらにしても第1回目の大会が成功すれば、弾みがつきますね。
前田 最初は「天下一武闘会」からも何人か選手を派遣してもらうから、北九州の不良VS関東の不良なんて構図も考えているんだ。
――ん~、ワクワクしますね。それでは、最後に前田さんから全国のアウトローたちにメッセージをお願いします。
前田 リングの上で嘘やハッタリは通用しない。小手先の駆け引きも通用しない。逃げも隠れもできない。頼りになるのは素の自分だけ。ルールのある格闘技は、ある意味、喧嘩より怖い勝負なんだ。自分が強いと思っているなら、素の自分で勝負してみろよ。
――リングに立つ勇気を持てと。
前田 そして、カッコ悪い自分を認めてくれるのもリングという場所なんだな。無我夢中でガムシャラに闘って、負けて、何もいいところがなかったと自分で思った試合が、「よかったね。かっこいい試合だった」と言われたりする。だから、もっと強くなれるんだろう。
――くぅー、深い言葉ですね。
前田 あ、そうだ、もうひとつ。アウトサイダーだけど、別に不良しか出場できないってことじゃないから。優等生でもイジメられっ子でも、どんどん応募してきてくれ(笑)。
――どうもありがとうございました。
(構成・山崎 淳、写真・伊丹豪)
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