ピンク映画にも高齢化の波? “老人の性”を描いた『たそがれ』
#アダルト #映画
“老人の性”をコメディとして描いた成人映画『いくつになってもやりたい男と女』が、『たそがれ』と題名を変え、一般映画館で上映中だ。高齢化社会を見据えて、ピンク映画界も新規マーケットの開発に乗り出したのか? いまおかしんじ監督に制作意図を聞いた。
「シニア層を狙ったわけじゃないんですけどね(笑)。ピンク映画のシナリオ公募をした際に目に留まったのが、高校で倫理の教師をしていた66歳の谷口晃さんの応募作。年を取ってもセックスしたいという人間の本音に惹かれました。ピンク映画は、1時間強の枠で4~5回女性の裸を出せば、あとはどんな題材を扱っても自由なんです」
65歳になる左官屋の鮒吉(多賀勝一)と、中学時代の初恋の女性・和子(並木橋靖子)との50年ぶりの再会を軸にした純愛物語。和子のベッドシーンは、恥じらいと大人の包容力が混在するものとなっている。
「キャスティングには苦労しました。ピンク映画に出てくれるシニア世代の女優は、まずいません。並木橋さんは熟女ものビデオには出てますが、演技は未経験。彼女が見つかった時点で、ヒロインに即決しました。鮒吉の妻を演じたのは、ブルーエンジェルと名乗るヒッピーのおばちゃん。ピンク映画って、不思議な人が集まるんですよ(笑)」
ピンク映画館に足を運ぶ観客は年々高齢化が進んでおり、本作は目新しさもあり地方の劇場で好評を博し、続編を望む声も出ている。介護サービスなど高齢者を食い物にしたビジネスが横行する中で、心温まるピンク映画として特筆したい。
(長野辰次)
いまおかしんじ
1965年、大阪府生まれ。成人映画『彗星まち』(95)で監督デビュー。“ピンク七福神”の筆頭格として注目される。AV出身の名女優・林由美香主演『たまもの』(04)はピンク大賞4部門受賞、ユーロスペースでも公開され話題に。続く『かえるのうた』(05)、『おじさん天国』(06)も一般劇場で公開された。一般映画への進出も、期待されている。http://pink2000s.cocolog-nifty.com/
『たそがれ』
監督/いまおかしんじ 出演/多賀勝一、並木橋靖子、速水今日子、吉岡研治、小谷可南子ほか 配給/SPOTTED PRODUCTIONS 2月16日より、ポレポレ東中野にて上映中。いい年して近所でスカートめくりをしている鮒吉(多賀)は、中学時代の同級生・和子(並木橋)と同窓会で再会し、初恋のときめきを思い出す。
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