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前田日明の新たなる野望(中編) 総合格闘技界への苦言、提言

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前編はこちら

 2月12日の記事でもお伝えしたとおり、「格闘王」前田日明が腕自慢の不良たちを集めて開催するアマチュア格闘技イベント『THE OUTSIDER』が3月30日に行われる。前回のインタビューでは、有望な人材を発掘しプロ選手へ育成することも大会の趣旨であることがわかった。そこで今回は、求める人材と日本のプロ格闘技の現状について聞いていこう。

――出場選手の 応募規定では「プロでの試合は3試合以内」となっていますが、格闘技経験はどの程度のレベルを考えているんですか?

前田 格闘技を習ったことがなくても、勝つ自信のあるヤツなら誰でもいいんです。健康上の問題がない限りOKです。

―― まともな試合になるでしょうか?

前田 最初から技術やテクニックなんて求めていないよ。格闘技だけじゃなく、人間のやることなんて最後に一番力を発揮するのは、精神力なんだよね。誰にも負けないプライド。ナニクソという根性。それこそが、見る人にも伝わる男の闘いだと思うんだ。

―― まさに喧嘩上等な感じですね。

前田 ただ、試合にはルールがあるから絶対に守りなさいよと。レフェリングも安全性を徹底させます。プロの試合みたいに倒れた相手へのパウンド攻撃なんて絶対にさせない。一発入ってダウンしたら、サッと止める。

―― それは、興行的な側面から見るとかなりの挑戦ですよね。テレビであれだけ過激な試合を見てる観客は、「もっとやらせろ」みたいな反応になるような気がします。

前田 だから、日本の総合格闘技はスポーツとして認知されないんだよ。誰でも見れるプライムタイムに、馬乗り顔面パンチの試合を放映してるのなんて、日本とブラジルのリオデジャネイロだけ。UFCだってペーパービューでしか見れないんだから。

―― 前田さんは以前から総合格闘技のスポーツ性を確立しようとしていますよね。

前田 PRIDEがブームになったといっても、スポーツとして見ている人は少ないでしょ。求めるのはバイオレンス。日本のスポーツ界で、格闘技は決してメジャーじゃない。

―― 格闘技をメジャースポーツに引き上げるには、何が必要なのでしょうか?

前田 明確なルールの統一と競技人口を含めた選手の底上げだね。結局、運動能力の高いヤツの第一選択肢は野球かサッカーで、そのおこぼれを他の競技が取り合ってるのが現状なんだ。まあ、アマチュア格闘技にも有能な選手はいるんだけど、いかんせん数が少ない。そして、そういう連中はプロになるならルートがあるから俺が手を貸すまでもない。だから、俺は不良に目をつけたんだよ。

―― というと?

前田 どんなに身体能力が高くても、グレるヤツはグレる。逆に考えれば、不良の世界でのし上がって行くのは、体力、運動神経に恵まれているヤツだよ。格闘技に不可欠の闘争本能も人一倍だ。ソイツらを鍛えたら相当な選手になるのは、間違いないだろう。

―― 前回おっしゃってた華のある、カリスマ性を持った連中も多いわけですからね。

前田 今のプロ格闘界で華があるといえば、魔裟斗や山本”KID”徳郁。実績でオーラを身につけた桜庭とかね。ただ、もっと凄いONクラスのカリスマが登場しないと、格闘技は本当のメジャーにはなれないと思うんだ。

―― そんななか、現在の格闘技界最大のイベントといえるのが年末の『Dynamite!』ですが、振り返ってもらえますか。

前田 久々の復活で話題を集めた船木は固かったね。動けてなかった。スイッチが入らなかったというか。ずっと感慨深げな表情をしていたから試合後に聞いたら、「入場ゲートに立った瞬間、7年半かけてやっとここに戻ってきたと思ったら、ジーンとしてしまいました」と言ってた。ヤツも生まれ持った華のある選手だから、今後に期待してるよ。

――「田村潔司×所英男」の試合後、リング上で「かっこつけんな!」と田村選手にトロフィーを投げつけていましたよね。

前田 田村は秒殺で勝てると思ってたんでしょう。それができなかったから、自分のイメージを守るために、所がどんなに頑張っても手の平の上で泳がせているんだよという試合をしたんだ。グラウンドで極め合いになっても立って、「かかって来い」みたいな。現役をやったことのある人間なら誰でもわかる、相手をすごくバカにした試合なんですよ。そのくせ試合後はリング上でお互いに土下座して、所の手を掲げたりしてね。試合のやり方と態度がまったく違うやないか、何かっこつけてんねん! というわけですよ。

―― Dynamite!協力試合として別会場で行われた「秋山成勲×三崎和雄」は、どう見ましたか?

前田 反則以前の問題。秋山がストンと落ちたときに、レフェリーがパッと入って「ダウン」を宣言しなきゃ。もともとPRIDEのルールはめちゃくちゃなんだけど、ああいう危険極まりない試合を見せちゃうから、総合格闘技はスポーツとして認められないんだ。
後編に続く/構成・山崎 淳、写真・伊丹豪)

※参戦者・観戦者募集中!
ぜひ、自分も「THE OUTSIDER」に参加したいという腕に自信のある人
ぜひ、「THE OUTSIDER」の試合を生で観戦したいという人
詳細は、リングス公式ホームページ

最終更新:2013/02/12 11:32
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