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他社に厳しく自社には超アマ!二枚舌・朝日新聞の偽装委託(前編)

20080131_asahi1.jpg2007年7月、朝日新聞東京本社前で行なわれたデモ

 朝日新聞は2006年夏から、「偽装請負」を告発する一大キャンペーンを展開してきた。偽装請負とは、製造業系の大企業で横行する、本来、雇用労働者として処遇すべき人々を請負労働者として扱う、非正規労働者の違法な活用法のこと。これにより、賃金を低く抑え、社会保険や有給休暇の付与など、本来企業側が労働者に対して負うべき義務を不当に回避しているのだ。

 朝日新聞による、キヤノンや松下電器産業の偽装請負を告発した記事は、非正規雇用者やワーキングプアの現状に光を当てたと、一部から高い評価を受けた。また、これらの記事は昨年5月『偽装請負—格差社会の労働現場』(朝日新書)という本にまとめられ、一連の報道は複数のジャーナリズム関連の賞も受賞した。


 しかし、本誌昨年8月号で既報の通り、当の朝日新聞社内で、偽装請負とのそしりを受けるような労働問題を抱えているというのだから、シャレにならない。紙面で取り上げてきた非正規労働者と似た境遇にある自社の労働者と、裁判沙汰にまで発展しているのだ。その裁判における朝日新聞の姿勢や、
社内の非正規労働者の実態を調べていくと、〝弱者の味方〟と称される朝日新聞とはまったく別の顔が浮かび上がってくる。

 まずは、この労働問題を簡単にまとめてみよう。

 朝日新聞社発行の英字紙「ヘラルド朝日」編集部において、非正規状態で働いていた記者と翻訳者、計3人が、労働契約上の労働者としての地位確認などを求め、朝日新聞を訴えたのは、
05年7月。この訴訟は07年3月、東京地裁にて原告敗訴、同年11月、東京高裁でも原告は敗訴し、現在、原告は最高裁に上告中だ。

 もともと「ヘラルド朝日」編集部では、正規(正社員)と非正規(派遣社員や契約社員、アルバイトなど含む)の労働者総勢80人近くが混在し、その中には社会保険や労災補償もなく、日給月給制(欠勤・早退・遅刻分を月給から差し引く制度)や時給制で働く人々が多数いた。

 そこで02年11月、そうした不安定な状態で働いていた18人が「ヘラルド朝日労働組合」を結成、会社側と労使交渉を開始した。交渉で最大の争点となったのが、会社と組合員との契約が、雇用関係に基づく労働契約であるのか、組合員を個人事業主と見なした業務委託契約であるのか、という点だった。

 だが、交渉の結果が出る以前に、組合が結成されて以降、編集部の空気は一変した。正規労働者による組合員への露骨な嫌がらせが始まったのだ。組合員が正規労働者に挨拶をしても無視、正規労働者は組合員に仕事を回さないといったいじめが横行。結果、組合員は大半が脱退するか、退職へと追い込まれた。

 労使交渉の過程では、組合が要求を理解してもらおうと、会社側に朝日新聞に掲載された非正規労働者の境遇に理解を示す内容の記事を見せると、当時の朝日新聞社労務部長は「労務方針は別だ」と言い放ったという。その後、会社側は組合員に出来高払いの請負契約か、最大更新4回までの期間1年の雇用契約かの選択を迫るようになり、交渉が決裂、解雇に直面した組合員3人が司法に訴えた。

 ヘラルド朝日労組は、全国一般労働組合東京南部(通称「なんぶ」)の支部として結成され、なんぶの傘下には他の大手新聞・英字紙の労組も属す。なんぶの委員長・平賀雄次郎氏によると、傘下の「デイリー・ヨミウリ」と「ジャパンタイムズ」の労組員は、1年ごとの有期契約で働いている者でも、社会保険や有給休暇など労働者としての権利保障を前提に交渉できる。しかし「ヘラルド朝日」に限っては、同様の境遇にある労働者に対し、会社は労働者としての権利を認めていない。

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最終更新:2008/02/10 09:00
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