スマイルもひきつる? マクドナルドの冷酷な経営姿勢【後編】
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新宿新都心の高層ビル
「恐らくそのコメントの根拠のひとつが、亡くなった店長の勤務表です。その勤務表は寸分の狂いもなく事前にプランされた勤務プラン通りでした。確かに、残業も少なく休暇も消化したその勤務表通りだったら、過労死とは認められない。ただ、絶対にそんなわけがないのは、現場の人間ならば誰でもわかることです」(関係者)
一部のメディアでは、上司による勤務表の書き換えがあったのではないかという報道もされている。しかし、前出関係者はそれは少し違うという。
「勤務表の書き換えは当然あったと思いますよ。でも書き換えたのは上司じゃなく、本人が恒常的に行っていたと推察されます。ほとんどの店長は、普段から勤怠表に過重労働の痕跡を残さないよう指導をされていますし、店長は残業代がつかないので、実際の長時間勤務記録を提出して、時間管理が悪いなどと上司から小言を言われるのがイヤで改ざんするのです。また、残業時間が月80時間を超えると産業医の面談を受けなければならなくなるのも面倒です。ただ、店長たち自身には、改ざんをしている認識はないのではないでしょうか? 何十年も昔からの習慣のようになっていますから……。本社からはコンプライアンスに違反するから正しい勤怠記録をつけるよう指示が出ていますが、現場では自分の評価に直結する事ですから、仕事の量を減らすか社員を増やすかしないと、現実には無理なことであると誰もが感じているのでは」
厳しい数値管理を突きつけられることで、たとえ賞味期限改ざんはやらなくても、自分自身の勤務表は改ざんせざるを得ない。これがマクドナルドの現場の現実のようである。マクドナルドは一連の賞味期限改ざん問題と併せて、このような現実に対し「今後は、安全管理の基本的知識を全クルー、社員が更に理解できるよう様々な投資と教育を実施してまいります」(コミュニケーション部)とコメントしている。
もちろん全ての店舗に問題があるわけではなく、数字だけみれば経営が楽になっている直営店やFC店も少なくないのだが……。
「それにもカラクリはあります。(業績やFCへのキャッシュフローなど)数字が上がっているのは、端的にいえば業績の悪い店が閉店し近隣の店舗が潤うからです。しかし、競合店ができた場合の設定目標引き下げなど、店舗への配慮は十分とはいえない」(関係者)
直営店ならまだしも、FCは本社の助けがない限り潰れ、オーナーには借金だけが残る。過酷な労働条件に耐えながら、ダメになったら切り捨て。もし、今後も現在の経営方針が継続されるのであれば、どんなに会社がコンプライアンス向上のための教育をしても、マクドナルドでの不祥事はなくならないであろう。
(テルイコウスケ/「サイゾー」2月号より)
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