『墓場鬼太郎』で、鬼太郎の“二重人格”ぶりはもう見た?
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1月10日よりフジテレビの“ノイタミナ枠”(深夜0時45分~)で、アニメ『墓場鬼太郎』(全11話)が始まった。水木しげる氏の“鬼太郎” シリーズの中でも1950年代に描かれた、怪奇色の強い貸本屋時代のものを原作としている。第1話では、育ての親が地獄送りになるのを鬼太郎がニヒルに笑う姿が非常にイケていた。毎週日曜日にはシリーズ第5弾となる『ゲゲゲの鬼太郎』が同局で放送中であり、同時期に“正義の味方”と“ダークサイド”、2人の鬼太郎が存在するという非常に珍しい状況になっている。松竹ではウエンツ瑛士主演の映画『ゲゲゲの鬼太郎』の続編の製作発表が行われ、山崎パンはココアと玉子味の「ちゃんちゃんこサンド」を発売……とここ数年は鬼太郎フィーバーが起きているのだ。
列が右から京極夏彦氏、野沢雅子、高山みなみ
アニメ『墓場鬼太郎』の放送開始に先立って、1月9日新宿区赤城神社にてヒット祈願イベントが行われた。小説家の京極夏彦、『ゲゲゲの鬼太郎』第1~2期、そして『墓場鬼太郎』で鬼太郎を務めている声優の野沢雅子、現在放送中の第5期『ゲゲゲの鬼太郎』で鬼太郎を演じている高山みなみ、さらには両『鬼太郎』の製作スタッフ、全国から集まったファンを合わせ、総勢40名がちゃんちゃんこを着込んで厳かにお祓いを受けた。
ファンの中に、長髪姿が鬼太郎ファッションに非常にマッチしている怪異蒐集家の木原浩勝氏を発見。『新耳袋』シリーズで知られる木原氏に最近の鬼太郎人気についてコメントを求めたところ、「モノクロだった第1期『ゲゲゲの鬼太郎』がテレビ放映されて、今年で40周年。“鬼太郎”は、おじいちゃんもお父さんも子どもたちも知っている非常に希有なコンテンツ。日本人は鬼太郎とともに年を取っていると言っても過言じゃないんじゃないかな」。
なるほど、水木しげる氏が太平洋戦争のニューギニア戦線から片腕を失いながらも生還し、生活のために戦後、紙芝居として始めたのが水木版“鬼太郎”の原点。その後、貸本屋、少年漫画誌、テレビアニメと発表媒体を変え、さらにはゲーム、CG満載の実写映画にもなった。また、1967年に少年誌(少年マガジン)で連載されるに際に、不気味な傍観者から人間の味方へとシフトチェンジし、テレビ放映でCMスポンサーが付きやすいよう『墓場の鬼太郎』から『ゲゲゲの鬼太郎』に改題されたという経緯がある。ダークサイドの住人から明るい人気キャラクターへと変身していった鬼太郎の歴史は、戦後日本のマスメディアの変遷とも連動しているわけだ。
誰からも愛されるヒーローを演じることで商業ベースに乗った『ゲゲゲの鬼太郎』と、人間社会のモラルから離れた場所で自由気ままに生きる『墓場鬼太郎』。水木氏が生み出した“鬼太郎”は、2面性を持つなんとも興味深いキャラクターなのだ。アナタはどちらの“鬼太郎”がお好き?
(長野辰次)
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