自費系出版社「新風舎」倒産! 放漫経営を物語る内部資料の存在
#事件 #企業 #出版
自費系出版社最大手の新風舎(松崎義行社長)は1月7日、東京地裁に民事再生手続きの申し立てを行い、事実上の倒産となった。10日には再生手続きの開始が決定し、裁判所の監督のもと、企業再生が図られることになる。本誌07年12月号の「新風舎が出す『バイブル本』の罪深さ」でも新風舎の問題商法の一端を紹介したが、著者の一部が詐欺的被害に遭ったとして損害賠償請求訴訟を提起したのをきっかけに批判的報道が相次ぎ、ついに経営が成り立たないところまで追い込まれたわけだ。
実は、新風舎が正月明けに民事再生を申請するという情報は、大晦日の日に出版業界内で駆けめぐっていた。12月下旬、実質的な本社機能を有していた東京・赤坂の事務所を西新宿の雑居ビルに移し、その直後の12月25日に、「サーバーメンテナンス」などを理由に早めの年末年始休業に入るという不可解な動きがあったから、さもありなんという話だった。
元旦には関係者から裏取りができたことから、2日、西新宿にある事務所の確認に出向いてみると、1階のコンビニを除けば、新風舎の入居する2階だけに明かりがついていた。正月返上で、民事再生の申請準備を進めているらしいことがわかった(写真参照)。
そして1月7日を迎え、朝日新聞が「自費出版大手『新風舎』、再生法申請へ」と1面で報道。同日午後4時には、同社が記者会見を開き、9日には債権者を集めた集会が行われた。この間、新風舎は、債権者宛の通知で、マスコミの批判的報道によって「事業遂行上の困難を来たし」たなどと説明。しかし、マスコミや債権者の追及により、松崎社長は誤解を招く勧誘があったことを認め、「放漫経営だった」と謝罪する展開となっている。
関連会社と併せた負債総額は、25億円。新風舎によると、出版契約を交わしながらまだ本が刊行されていない著者は1100人になる(これ以上いるはずだと語る関係者もいる)。仮にお客が1点あたり100万円を支払っていたとすると、11億円にものぼる。この金額は、契約が完了していない仕掛かりの仕事なので、債権とは別の扱いとなる。「帆風」などの印刷会社の支援により、事業を継続し、必ず出版すると説明するものの、運転資金がほとんどないと見られるなかで、どのような手当が可能なのか、いまだ不透明なままだ。
本誌2月号(1月18日発売)では、新風舎の驚愕の内部資料を公開する。締め切りの都合で、民事再生の申請時点までしか触れていないが、現在、新聞、テレビが報じている01年時点の「内部資料」とは別の、より新しい資料の文面の一部と写真も掲載した。乞うご期待!
(長岡義幸)
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