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史上初! 中国人監督が、日本のタブー“靖国神社”を撮ったワケ

20071215_yasukuni.jpg©2007 Dragon Films Inc. Beijing Film Academy’s
Youth Studio Beijing Zhongkun Film Inc

 アジア外交に多大な影響を与え続けている“靖国問題”。日本人ジャーナリストもうかつには手が出せない「靖国神社」が、在日中国人である李纓(リー・イン)監督の手でドキュメンタリー映画となった。

 映画『靖国』では物々しい中での小泉純一郎首相(2005年当時)の参拝姿、合祀取り下げを求めに来た台湾からの陳情団と神社側のやりとり、終戦60周年記念式典での「君が代」斉唱を妨害しようとした青年が取り抑えられる様子など、靖国神社内で起きる様々な出来事が赤裸々に映し出される。

20071215_yasukuni2.jpg『靖国』を完成させた、李纓監督

 その一方で、今なお「靖国刀」を作り続けている刀匠・刈谷直治さん(90歳)の静かな日常も伝えている。普段“靖国問題”に疎遠な輩には、いろいろと発見のある作品だ。08年春にロードショー公開の予定。

 12月11日、都内での試写終了後、李監督が来場して会見が行なわれた。李監督が「靖国神社」に興味を持った経緯について尋ねた。

「私が日本に来たのは、89年。その頃は“靖国問題”のことはほとんど知らず、靖国神社は花見や相撲が行なわれる場所という程度の認識でした。きっかけは97年に九段会館(東京)で行なわれた南京事件60年の記念シンポジウムでした。当時の日本軍が撮影した記録映画『南京』が上映されたのですが、日本軍が入場する場面で会場から拍手が起きたのに私は驚きました。日本人と中国人である私との歴史に対する認識のギャップはどこから生じているのか。そう自分自身に問い掛けたところ、“靖国神社”に関心を持つようになりました。以来、10年間ずっと靖国神社を撮り続けてきたんです」

 李監督は、決して“反日”の立場から映画を撮ったのではないと強調する。

「私は“反日”という言葉が大嫌いです。日中戦争の頃のようなナショナリズムを不必要にあおる危険な言葉ではないでしょうか。この映画がきっかけで、日本とアジアの国々がよりよいコミュニケーションを取れるようになればと思います。この作品は私から日本へ向けたラブレターなんです」

 日中共同製作、芸術文化振興基金と釜山国際映画祭アジアドキュメンタリーネットワーク基金の助成金によって完成した本作。日本での公開のほか、 08年のベルリン映画祭、サンダンス映画祭、香港映画祭への出品も決定している。1本の映画が多方面に大きな話題を呼びそうだ。
(長野辰次)

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最終更新:2008/06/27 21:45
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