欧州で“世界のキタノ”くらい有名な“無名”日本人監督って?
#映画 #北野武
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“映画祭男”といえば北野武監督が有名だが、もう1人“小林政広”という監督の名前はご存じだろうか? カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭に次ぐ格式を持つ、スイスのロカルノ映画祭にて、8月、新作『愛の予感』が金豹賞(グランプリ)を含む4冠を受賞。監督自ら主演を務め、台詞は冒頭と終わりだけという非常にユニークなスタイルのインディペンデント作品だ。監督演じる中年男が、生卵かけご飯を黙々と食べる日常が繰り返し映し出される。
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彼のフィルモグラフィーを振り返ると、カンヌ映画祭に98年『海賊版=BOOTLEG FILM』(ある視点部門)、00年『殺し』(監督週間)、01年『歩く、人』(ある視点部門)、05年『バッシング』(コンペ部門)と正式出品が続き、 03年の『女理髪師の恋』もロカルノ映画祭で特別大賞に選ばれている。
世界最大の映画祭カンヌでの受賞こそないが、呼ばれてもないのにカンヌに押し掛けた木村拓哉や香取慎吾に比べ、いかに小林監督がヨーロッパの映画人たちから認められているかがわかる。しかし、それにしては自国での小林監督のネームバリューはあまりに低いのではないか?
イラク人質事件をモチーフにした前作『バッシング』に続いて、『愛の予感』の配給協力をしているバイオタイドに、胸の内を聞いてみた。
「本当、その通りですね(苦笑)。ヨーロッパのアンチ・ハリウッドな知識層からは、小林監督の独自の作品スタイルは高い評価を受けています。ジャン・リュック・ゴダールと『万事快調』を共同監督したジャン・ピエール・ゴランも『愛の予感』を観て、『すごい作品だ。なぜ短く(102分)したんだ。もっと長くてもいいんじゃないか』と言ったそうです。確かに興行的には楽な作品ではありませんが、作家性のある優れた映画が、日本でなかなか公開できないのはどうかと思いますね」(バイオタイド宣伝・渡辺祐一氏)
ちなみに小林監督作品には、鈴木京香主演『気仙沼伝説』、石橋凌主演『幸福』とすでに完成しているものの劇場公開が決まっていない作品が、まだ2つある。テレビ局主体のシネコン向け映画が主流を占める邦画界にあって、小林監督の独自性はひときわ異彩を放っているのだ。
(長野辰次)
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