下北沢“伝説のクラブ”SLITSのための証言集
#音楽 #本
「最初の頃は『世田谷区にクラブがあるなんてダメ』とまで言われてました」
と語るのは、かつて下北沢に存在したクラブ「SLITS」の元店長、山下直樹氏。同店は、当時クラブ不毛の地であった下北沢にありながら、スチャダラパーやフリッパーズ周辺など、そうそうたるメンツが集い、90年代半ばに爆発する渋谷系ブームの陰の中心地とも呼ばれた。
90年代を通し、東京の音楽シーンに独自の存在感を残した「伝説のハコ」についての証言集『LIFE AT SLITS』(ブルース・インターアクションズ)が、出版される。
渋谷系ブームには「ピンときてなかった」と言う山下氏だが、「それまでにないイベントを」という想いのもとに、SLITSは、ネオアコからパンク、スカ、ヒップホップまで数々のシーンの源流を担った。その鍵は、ジャンルにとらわれない山下氏の、理想のクラブ像にあったようだ。
「基本的に何かと何かを『混ぜる』っていう意識が自分にはあって、いろんなジャンルが並列なんです。クラブもライブハウスも境目のない状態で、ただ音楽好きな人間が集まって踊ってくみたいな。今でこそそういう聴き方、遊び方は割と当たり前になったとも思うけど、SLITSは初めてそれに挑戦した店じゃないですかね。意識的に」
当時の遊び人も現役のクラバーも、SLITSから現在までを脈々とつなげるスピリットを、この本で感じるはず。
「いちばんの望みは、かつて通ってた人の子どもが読んでくれること。俺が子どもの時に、自分の親が遊んでた店についての本があったら、めちゃくちゃ興奮したと思うから」
(ユラシア小熊)
SLITS
日本のクラブ、ポップミュージックシーンに数々のアーティストを輩出した下北沢のクラブ。和モノ歌謡曲やガレージロックなど、それまでにないイベントで人気店となったが、惜しまれながらも95年に閉店。
「LIFE AT SLITS」
GREAT3やTOKYO NO.1 SOULSETなど数々のアーティストを輩出したクラブSLITS。同店を遊び場にしていたスチャダラパーや小山田圭吾、GREAT3など、100名を超える関係者の証言を集めて、90年代の音楽シーンを浮き彫りにした貴重な証言集『LIFE AT SLITS』。発売/ブルース・インターアクションズ 価格/2310円(税込) 発売日/11月16日
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