亀田大毅の反則行為は、史郎の作戦?
#ボクシング #亀田三兄弟
試合前の挑発的な勝利宣言とは裏腹に、反則行為による減点など、結果は見るも無残な大差の判定負けを喫した亀田一家の次男・大毅(18=協栄ジム)。「神聖なリングを冒涜した」として、日本ボクシング・コミッション(以下、JBC)は、15日、大毅に一年間のライセンス停止処分、問題の父親・史郎氏にはセコンドライセンスの無期限停止処分を発表した。1ラウンドに3点の減点、刑事事件以外でのトレーナーの無期限停止処分、共に日本ボクシング史上、極めて異例なことだ。
普段は腰の重いJBCが、即座に委員会を招集し、史郎氏を厳罰に処した最大の根拠は、大毅への反則指示だ。音声マイクに拾われ、TBSの生中継で、史郎氏の「勝てへんぞ!玉打ってまえ!(※)」発言が全国に流れてしまったのだから、言い訳は不可能。「闘志の現れ」などといってもムダである。なぜ史郎氏は「反則指示」などしたのだろうか?
本当の被害者は大毅
ボクシング業界では、判定で負けを宣告されると“完全な負け”となり、その後の選手生命や選手の評価に大きく影響するが、反則・失格負けは“?のついた負け”と言われ、判定負けに比べ、影響が小さいという暗黙の了解がある。
あるジム関係者はこう語る。
「(亀田親子は)失格負けにしたかったんですよ。レフェリーに止められるのを狙ってた。判定になれば、勝ち目がないことは、本人以上に親父が分かってた。だから、失格負けにして、『やり過ぎて失格負け。実力では、劣っていなかった』っていう、逃げ道を作りたかった」
負けは負けでも、「実力で負けたんじゃない、レフェリーに止められただけ、あのままやってたらKOできた」……と、言える環境をつくろうとしたというのだ。劣勢に立たされたボクサーが失格を狙って、反則行為を犯すのは、業界では有名な話。過去にはモハメド・アリが、敗色の濃厚な試合で、反則行為を働き無効試合となったり、マイク・タイソンが、相手選手の耳を噛みちぎり、自ら失格負けになった事例もある。結果、両者は「次の試合まで期待を持たせる」ことに成功している。
だが、今回はこの反則行為が完全に裏目に出た。大毅の次の試合に注目が集まることは間違いないが、ここまで世間の批判を浴びるとテレビ中継やスポンサー集めも難しくなるだろう。試合後に反則指示を否定し、息子に全責任を押し付けようとした父親。最大の被害者は、謝罪会見で茫然自失となった姿を全国にさらした大毅なのかも知れない。
(富田和彦)
※注:「玉打ってまえ」→玉とは、男性機の睾丸のこと。ボクシングでは、相手のベルト・ラインより下を打つ「ロー・ブロー」を厳しく禁じているが、急所である男性器への攻撃は、最低の反則とされる。
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