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『自虐の詩』映画化! ちゃぶ台返しに込めた作者の想い

20071030_jigyaku01.jpg秘儀・ちゃぶ台返し!(C)2007『自虐の詩』フィルムパートナーズ

 世界一不幸な女・森田幸江と、すぐにちゃぶ台をひっくり返す無職男・葉山イサオの同棲生活を描いた漫画『自虐の詩』。今はなき「週刊宝石」(光文社)で1985〜90年に連載された業田良家氏の出世作が、中谷美紀、阿部寛主演により実写映画化された。原作では貧乏な家庭に生まれ、母親は蒸発、父親は銀行強盗犯で服役中、おまけに鼻ボクロが目立つ残念なルックス……と不幸のコンクリート詰め状態にあった幸江が、紆余曲折を経て、確かな幸せをつかみ取る過程が感動的に描かれている。映画版も原作のツボをきっちり押さえた構成で、観る者の涙を誘う。

20071030_jigyaku02.jpg“日本一泣ける4コマ”の作者・業田良家氏

「完成した映画を試写で拝見しましたが、笑えるシーンも多く、後半は僕も観ていて、ぐっときました。やはり中谷さんの演技が素晴らしい。え、中谷さんでは美人すぎる? いや〜、僕の絵が下手なだけで、実は幸江さんはイイ女なんです(笑)。美人ではないけど、男好きのするタイプ。中谷さんは、見事に幸江さんに成り切っていました。役に入っている中谷さんをスタジオで見て、『あぁ、幸江さんって、こんな女性なんだ』と感慨深かったですね」

 近年は、政治・社会派ものを描くことの多い業田氏だが、『自虐の詩』は26〜31歳の作品。よくぞ、その若さで“人生の深遠さ”をギャグ漫画として描き切ったものだと感心させられる。

「漫画を描くことで、自分の内面を見つめることができたんです。アイデアを練っているうちに、人間の心理や社会の成り立ちについて考えるわけです。『自虐の詩』で描いたことは、当時の僕が気づいたこと、幸江さんとイサオが発見したことでもあるんですよ。人物像を掘り下げていくうちに、どんどん感情移入していき、連載の後半は主人公と同じ体験をしているような不思議な気分でしたね」

 幸江とイサオは、典型的な不幸な女と暴力男として描いたもので、モデルはいないと語るが、最後に自身の家庭について明かしてくれた。

「女房とは連載中に結婚したんです。後半を描いている頃は、ちょうど妊娠、出産の時期でした。その体験がなかったら、あの結末はなかったでしょうね。連載終了から17年。日本も変わったし、幸せの意味も変わったかもしれない。でも、幸せの本質的な部分は変わっていないと思うんです。だからこそ、今回の映画もいいものになったんじゃないかな」           
(長野辰次・文/有高唯之・撮影)

『自虐の詩』
働かない内縁の夫・イサオを支え続ける薄幸の女・幸江。そのけなげさの裏には、壮絶な少女時代の体験が隠されていた。原作/業田良家 監督/堤幸彦、出演/中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀、西田敏行ほか。配給/松竹 10月27日より、渋谷シネクイントほかにて全国ロードショー中。公式HP

業田良家(ごうだ・よしいえ)
1958年、福岡県生まれ。83年に『ゴーダ君』で漫画家デビュー。2作目となる『自虐の詩』の連載中に上京。さまざまなキャラクターが登場した同作は、“幸江とイサオ”シリーズとして編集された文庫版(竹書房)がロングセラーに。『ヨシイエ童話』『ゴーダ哲学堂』『詩人ケン』など著書多数。現在、「まんがくらぶ」(同)で『新・自虐の詩』を連載中。

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最終更新:2008/06/09 20:37
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