警視庁流出資料にあった暴力団と芸能プロの名前
#事件 #警察 #暴力団
6月上旬、警視庁北沢署の巡査長の私物パソコンから、ファイル交換ソフト「Winny」を通じて約1万件のファイルが流出するという前代未聞の事件が起こった。これには、暴力団関連の捜査資料も含まれており、暴力団と芸能界の黒い交際についても、スキャンダラスに報じられることとなった。
「スポーツ紙や週刊誌でも、嘉門洋子や元レースクイーンのSの名前が挙がり、大物暴力団組長の“情婦”として報じられましたが、この資料の情報ソースは暴力団に偏っているような内容。タレント側への裏取り調査がされた形跡はなく、信ぴょう性についてはなんともいえない」
そうコメントするのは、警視庁捜査四課の関係者。ただし、同氏によれば、そのような噂が流出資料に記されたのには、根拠がないわけではないという。
「嘉門との関係を示す資料に名前が記されていたのは、山口組系暴力団後藤組組長の後藤忠政ですが、後藤組の動向に詳しいマル暴担当に聞いても、嘉門が愛人だったという話は聞いたことがないという。ただし、流出資料の中には、後藤の渡航記録がありますが、これには、2000年、後藤と一緒に嘉門が香港に行ったと書かれている。これは確かなようです」(同)
当時の嘉門を知る芸能関係者も、「嘉門が後藤の愛人だったことはないと思う。嘉門は後藤の愛人である女性と仲が良く、その子に誘われて後藤と香港に行ったんだと思いますよ」と語る。
この情報が本当だとすると、警察に“情婦”の烙印を押された嘉門はまさに被害者。嘉門の所属事務所もスポーツ紙の取材に「事実無根。警察に抗議したい」と答えているが、三田佳子の次男による「覚せい剤パーティ」に参加していたという過去の疑惑も含め、身にまとったネガティブなイメージを払拭していくのは楽ではないだろう。
一方、元レースクイーンのSは、後藤組のフロント企業といわれる芸能プロに所属していたことが、情婦説に信ぴょう性を持たせているようだ。
「SはTBSの情報番組『ワンダフル』のワンギャルだったんですが、その頃から、ブランド品を身に着けて、高級外車に乗ってました。『大物に可愛がってもらっているの』と豪語してましたからね。その人物が後藤だと知っていた人は、Sとはかかわらないようにしてましたよ」(前出・芸能関係者)
このSは、昨年結婚して芸能界を引退したため、大きく実名報道されることはなかったが、一方、流出資料に名前が出ていた芸能関係者の中で、イニシャル報道にとどめるどころか、名前が記載されていたという事実すら、多くのマスコミが黙殺した人物がいる。芸能界では知らない者がいない、大手芸能プロの社長の名前だ。
「流出資料では、後藤組のクライアント企業として社長名と芸能プロの名前が出ていましたが、この芸能プロの影響力の大きさを考えると、マスコミが、実名報道どころか、それを匂わすような表現すらできないのも無理がない。芸能界のタブーですから」
前述した通り、裏取りの甘い流出資料だけに、本誌でも実名報道は避けるが、この芸能プロ社長には以前から、暴力団との付き合いのあることが囁かれてきた。今回、警視庁もその点に目をつけていたことが明らかになったわけだ。
「1960年代、芸能界はそれまでの暴力団との関係を自浄しようと努力し、それなりの成果を上げていたが、80年代に入り、この芸能プロ社長が業界内で力を持ち始めると、再び芸能プロと暴力団との癒着が蔓延しだしたんです。この社長も、暴力団へのタレントの紹介を頻繁に行っていました」(同)
今回、“情婦”とされた女性タレントと共に、この芸能プロ社長の名前がリストアップされていたのは、なんとも象徴的だ。だが、芸能界と暴力団の関係は、女性をめぐるものだけではない。癒着の本筋は、芸能プロから裏社会にも流れているといわれる裏金の存在。捜査資料流出という失態を演じた警視庁には、汚名を返上する意味でも、その不健全な関係にこそ、メスを入れてもらいたいものだ。(青木寛二/「サイゾー」8月号より)
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