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『大日本人』をめぐる芸能マスコミの調子者ぶり

 初監督作品『大日本人』の公開に合わせて、5月から6月上旬にかけて、120本以上の取材を受け、テレビや雑誌に大量露出を図った松本人志。同作公開直後の本稿執筆時点では、興行成績の行方は定かではないが、マニアックなその内容は賛否両論で、決して大ヒットする映画ではないようだ。

 それにしても、相も変わらず批評精神ゼロの体たらくを発揮したのが、映画を見ないうちから、松本をヨイショしまくった芸能マスコミだろう。特に「カンヌへ招待」と大々的に報じたが、松本が招待されたのは「監督週間」であり、この催しはカンヌ国際映画祭の本部事務局とは別組織であるフランス映画協会によって運営されているもの。


「招待作の選考基準も曖昧で、日本映画も頻繁に出品されています。特に『大日本人』は、配給元である松竹のプッシュがあったからこそ出品できたと言われています」(映画業界関係者)

 そういった実態をマスコミが正確に伝えないため、国民だけではなく、松本自身も勘違いしたようだ。たとえば、意気揚々とカンヌ入りしたものの、監督週間の出品作では、カンヌの代名詞である赤絨毯の上を歩くことができないと知り、落胆していたという。さらに、プレミア上映会の舞台挨拶でも、「(フランスの)新大統領も気に入ってくれるでしょう」とコメントし、観客からブーイングを受けた。

「映画祭に来るようなフランス人の大半は、革新的な若者層です。彼らが保守派のサルコジに批判的であることは常識。世界を目指す監督としては、見識に欠ける発言でした」(同)

 もちろん、そういった批判も芸能マスコミには皆無だが、上映中に観客が次々に席を立ったことを速報したメディアが少なかったことも、ある情けない事情によるものだという。

「実は、『大日本人』のプレミア上映とほぼ時を同じくして、フジテレビ主催のパーティーがカンヌで行われたんです。同局が製作した『HERO』と『西遊記』の宣伝を兼ねたものですが、このパーティーのために、多くのマスコミが松本の作品を最後まで見ることなく上映会場を後にしたんです」(カンヌを訪れたスポーツ紙記者)

 両作に主演する木村拓哉と香取慎吾が来ていたからとはいえ、これらの作品は映画祭とは無関係。映画祭の取材に行ったのなら、『大日本人』の取材を優先するのが本義のはずだ。

「フジテレビは、昨年も自社映画の『UDON』や『シュガー&スパイス~風味絶佳~』の宣伝イベントをカンヌで大々的に行っています。莫大な経費をかけて、出演者である柳楽優弥や小西真奈美らを連れていき、さらに記者もあごあし付きで帯同させ、ヨイショ記事を書かせまくったんです」(同)

 ところが、そのような大規模宣伝にもかかわらず、特に『UDON』は興行的には大コケ。懲りないフジテレビは、リベンジとばかりに今年は数億円ともいわれる巨額の費用をかけ、木村と香取を担ぎ出したのだ。

「2人のスケジュールの関係もあって、パーティーが『大日本人』の上映とかぶることになると、翌日の報道が『大日本人』に奪われないようにと、フジは多数のメディアを取材費を工面するなどして縛りつけたんです。加えて、ジャニーズのプレッシャーもあれば、記者たちもパーティーに行かざるを得ないでしょう」(前出・業界関係者)

 ただし、『大日本人』に対する散々な観客の反応からしたら、プレミア上映に最後まで付き合った記者が少なかったのが、松本サイドに不幸中の幸いとなったのは、なんとも皮肉だ。

「そういった状況も含めて、松本はカンヌ入りしていたビートたけしの元を訪ねたとき、涙目で悔しがっていたそうです。気の毒に思ったたけしも、帰国時の会見で『客が帰るのは珍しくない』『上映時間が遅かったせいもある』とフォローしてましたね」(前出・記者)

 自分を持ち上げてくれたかと思えば、フジやジャニーズにしっぽを振ったり……ただでさえマスコミ嫌いだった松本の彼らへの不信は、さらに強まったのではないだろうか。(今上 明/「サイゾー」7月号より)

最終更新:2018/12/07 19:32
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