マヨネーズ高騰から見えるエネルギー利権と環境破壊
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先月、17年ぶりにマヨネーズの価格を約10%程度値上げすると、各食料品メーカーが発表した。その原因は、マヨネーズの主要原材料である植物油脂の価格高騰によるものだという。植物油脂にはトウモロコシなどの穀物が使われているが、これらはガソリンの代替エネルギーとして注目を集める、〝バイオ燃料〟の原材料。そのため世界的な需要が拡大し、ここ数年、不足状態にあるのだ。アメリカのコンサルティング会社「クリーン・エッジ」によると、05年のバイオ燃料市場規模は約1兆8800億円。8年後には約6兆3000億円に達すると試算している。
「CO2の排出量が少ないことから、バイオ燃料は環境にも優しいとされ、トヨタもバイオ燃料カーの開発・販売に乗り出すなど、各国の政府や企業がその利用を検討する有望な分野です」(業界紙記者)
こうした状況の中、途上国を中心に、これまで全く別の作物を生産していた農家が、トウモロコシ栽培に転じるケースも増えているという。
「しかし、皮肉なことに、トウモロコシなどの生産が増える一方、果実や小麦などの穀物の生産が減少しそれらまでも高騰する現象が起こっています。最近も国内で、その影響により、果汁100%ジュースの価格が上がりました。また、環境に優しいとされるバイオ燃料の生産地拡大のために、熱帯雨林の伐採など環境破壊が進行するという矛盾も報告されています」(経済アナリスト)
今後は、中国やインドなどの新興国においてもバイオ燃料の消費が拡大することは必至だ。
「中国では、食糧・燃料に使用するためトウモロコシの消費が右肩上がりで伸びており、自国の生産では間に合わず、輸入も検討しているようです。先進国・新興国を問わず、世界中で、熾烈な囲い込みの争奪戦が繰り広げられ、貿易摩擦が起こる可能性も高い」(同)
マヨネーズの値上りの裏では、新たなエネルギー利権をめぐる、各国の思惑が潜んでいるのだ。(大崎量平/「サイゾー」7月号より)
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