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日刊サイゾー トップ > 社会  > 光市母子殺害事件、22人の弁護団が胸中を告白

光市母子殺害事件、22人の弁護団が胸中を告白

 1999年4月に起きた山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が1、2審の無期懲役判決を破棄した当時18歳少年の被告(26)の差し戻し控訴審第9回公判が19日、広島高裁で開かれた。

 この裁判は、差し戻し審において一転して殺意を否認したことで世論の反感を買っているが、元少年はこの前日(18日)に行われた弁護側被告人質問において、「(捜査段階から)認めていたわけではなく、主張が受け入れてもらえなかっただけだ」と強調。1審で起訴事実を認めたのは「当時の弁護人に、『無期懲役になる。(検察側と)争わない方がいい』と言われたからだ」と説明した。

 これまでの差し戻し審公判においても、弁護側は少年に殺意がなかったことを精神分析などを元に説明してきているが、マスコミは一様に「でっち上げの芝居で死刑を逃れようとしている」などと報道。その攻撃の矛先は、被告側につく22人の弁護団にも向いていった。タレント弁護士として有名な橋下徹弁護士は、テレビ番組内で弁護団の活動を非難し、また自己のブログ内で「弁護士全体に対する信用を失った」などとして弁護団に対する懲戒請求を国民に煽った。その結果、100~300通の懲戒請求が各弁護士に届いたという。

 その渦中の弁護団のメンバーのうち、河井匡秀氏・新谷桂氏の2名が今月10日に開かれた「人道と報道・連絡会定例会」(映画監督・山際永三氏主催)にゲストとして招かれ、今までマスメディアの前ではなかなか語れなかった胸中を明かした。

 2名の弁護士は、橋下弁護士の発言をはじめとして「メディア側が非常に原告に偏った報道をしている」と主張し、自分たちの言い分が理に適ったものであることを法医学の観点などから説明した。

 河井弁護士は、「自白調書が客観的事実と明らかに矛盾しており、この裁判は法正義に反する」とした上で、

「元少年は被害者である本村弥生さんに馬乗りになり、両手で首を絞めて殺害したとあるが、遺体にはそれにあたる表皮剥奪などの痕跡は一切見当たらない。また、本村夕夏ちゃんを自分の頭の上から落とし、手で首を絞め、さらに首を二重のひもで締め付けたとあるが、遺体には小さな皮下出血が数点見られるだけで頭蓋骨陥没も絞殺の痕も残っていない。そもそも生後11カ月の赤ちゃんを頭の上の高さから叩きつけたら普通はそれだけで死ぬものです。実はこの点については、検察側も説明ができていない。」

とコメントし、検察側の矛盾を指摘した。

 一方の新谷弁護士は、元少年の生い立ちなどから犯行の計画性を否定。

「元少年は被害者の家のすぐ近くに住んでおり、犯行当時はネームプレート入りの制服を着ていた。計画的な犯行ならば、そんなすぐにアシがつくような真似をするわけがない」

とし、“不幸な連鎖”により弥生さんと夕夏ちゃんを死に至らしめてしまった可能性があるとした。さらに、

「一転して殺意を否認したなどと報道されているが、被告人は一審の被告人質問の段階ではっきりと『殺意はなかった』と主張している。過去には最高裁差し戻しで死刑が無罪になった判例もあり、我々は法正義に則って当たり前のことをしているだけだ」

と主張した。

 2名の弁護士はともに「我々はあくまで客観的証拠に基づいた正しい量刑判断を求めているだけ」と強調。メディアに対し、より客観的な報道姿勢を求めた。
(編集部)

最終更新:2008/06/26 19:00
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