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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『ロボサン』エビ中は何と戦う?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第73回

未来のことを考えてるほどヒマじゃない! 『甲殻不動戦記 ロボサン』でエビ中は何と戦うのか

robosan.jpg『甲殻不動戦記 ロボサン』テレビ東京

「暇で暇で死にそうなんだよ!」

 8人の少女たちは、急に自分たちの“たまり場”に入ってきて「一刻も早く、ここから出ていけ!」と怒鳴る男に対してそう言い返し、「急に横取りとか、ずるくない?」と主張した。『甲殻不動戦記 ロボサン』(テレビ東京系)は、私立恵比寿中学の8人が主演の異色のSFドラマである。

 私立恵比寿中学は、2009年にももいろクローバーZの妹分として結成されたアイドルグループ。“永遠の中学生”をコンセプトに、12年にはメジャーデビューを果たし、14年には日本武道館ライブを成功させた。メンバーは“転校”“転入”などを経てさまざまな変遷をたどっているが、現在は8人組。その8人全員が主演だ。

 脚本は『ウレロ☆』シリーズ(同)の脚本も手がけている、小劇場界の奇才・シベリア少女鉄道の土屋亮一ら。前半に数多くの伏線を張りめぐらせ、それを後半にアット驚く仕掛けを用意して一気に回収するのが得意だ。劇団の公式HPでは“永遠の男子中学生”を自称しており、まさに“永遠の中学生”同士の最高の組み合わせだ。

 物語の舞台は、謎の宇宙生物が襲来し、人類が滅亡の危機に瀕した後の世界。その時、地球を救ったのが、どこからともなく現れた正体不明のロボット(通称「ロボサン」)だった。その動力源や操縦方法は一切不明のまま危機が去ったため、ロボサンは立入禁止区域で放置されている。そんな中、宇宙生物の再来を予見して独自に研究を続け、パイロット候補を探していたのが橘教授(甲本雅裕)。教授が数カ月ぶりにロボットのコントロールルームと思われる場所を訪れると、そこに学校もクラスも学年も違う8人の女子中学生たちが、冷蔵庫やゲームなどを持ち込んで、放課後の“たまり場”にしてしまっていたというところから物語は始まる。

 教授は、いかに現在が危機的状況か、そしてそれを回避するためにはこのロボットの謎を解くことが重要かを、青筋を立てながら説明するが、少女たちは一向に真剣に耳を傾けようとしないし、もちろんこの場所を譲る気なんて起きない。挙げ句、「一旦休憩しよ」と、買ってきたお菓子を広げ始めるのだ。そして「いくらだった?」「1,186円」「8で割るといくら?」「いま計算してるよぉ」と、お金の計算を始める始末。その光景にあきれながらも「おやつ食べながらでもいいから、ちゃんと聞こう!」と話を続けようとする教授をよそに「じゃ、今日のところは私出そうか?」と話が進んでいく。

 「万札しかないや」「お釣りあるよ。ちょっと細かくなっちゃうけど……」「全部千円札?」「500円玉も何枚か混ざっちゃう感じだけど……いいかな?」「なんか、かさばるな…」(中略)「14円ある?」「あぁ、4円がない……」「じゃぁ、私が1万円と206円払うから、9,020円のお釣りちょうだい」「20円ない。50円玉しかない」「誰かくずれない?」「10円玉5枚……? ああ、4枚しかない」「私あるよ!」「いい?」「……ごめん、一個5円玉だった」「じゃあ、私が1万円と236円払うから……あ、30円、ない!」と、お釣りの精算について延々と話す少女たち。「そんなぁー。どうすれば私たちは精算できるのぉー?」と。

 そんな時、けたたましく緊急警報が鳴り響く。海外の軍隊に配備されていた量産型ロボットの一体が、「ロボサン」が眠るこの都市を襲いにやってきたのだ。慌てる教授を尻目に、なおも少女たちは小銭の話に終始する。

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