トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > その他  > 日本IBMの大量リストラ裁判

日本IBMの大量リストラ「退職強要は裁判所のお墨付き」

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
大阪市職員「橋下市長は認めるが、維新の会議員には敵対心のみ」
盗撮で書類送検のIBM元社長はブラック企業化の張本人
同性愛は6兆円市場?IBMも積極的にLGBT採用のワケ

■特にオススメ記事はこちら!
「退職強要は裁判所のお墨付き」日本IBMの大量リストラ – Business Journal(12月3日)

IBM11年、IBMは創立100周年を迎えた。
(「日本IBM HP」より)

ーーニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!

 今年10月31日、日本IBMの元社員4人が会社を相手取り、損害賠償を求めている裁判の控訴審判決が、東京高裁であった。これは、日本IBMが08年秋、社員たちに執拗な退職強要を繰り返し、わずか2カ月余りの間に約1500人もの社員を退職に追い込んだ事件によるものだ。

 それは会社が打ち出した正式名称「2008年4Qリソースアクションプログラム」(以下、RAプログラム)という名のリストラ策だった。

 RAプログラムの対象となる社員の大半は、平均以上の評価にもかかわらず、会社から難癖をつけられるケースがほとんどだった。具体的な対象の定義は、「PBC評価」(社員の業績評価を数値化したもの)で、「昨年度は2(着実な貢献度を指す。5段階評価で真ん中)だが、本年度の業績が低下していて今後も業績向上や高い貢献度は見込めないと判断できる社員」や、「50歳以上かつ、今後高い貢献を期待できない社員」、「今後も継続してアウトソーシング可能な業務への従事が見込まれ、組織変更が難しい社員」というもの。

 これらの定義は上司の腹一つで、どうとでも解釈する余地があり、恣意的に社員を狙い撃ちすることを可能にしている。実際、ターゲットにされたのは、「メンタルヘルスの問題を抱えている人や、従順な人、自分の意志をハッキリと言えない人、新しい仕事に就いて間もない人、身体障害者などが狙い撃ちされていた」と原告たちは語る。

 こうしてターゲットにされた社員を、上司は個室に呼び出し、退職支援金(加算金を最大給料15カ月分支給)を提示し、再就職支援会社(人材派遣会社の、パソナキャリア、ライトマネジメントジャパン、リクルートキャリアコンサルティングのいずれか)を紹介しながら退職勧奨をする。社員が断ると「今後も1週間に一度程度面談を行っていく」と通告。

 そして、2度〜3度と呼び出しをする。面談を重ねるごとに、上司の言動はエスカレートしていくのが特徴だ。例えば、「あなたにやってもらう仕事はない。IBM以外のキャリアを選択してください」、「あなたはこのままだと、成績が下がる。そうなれば減給や降格もあり得ますよ」などと脅す。

 それでも社員が断ると、4度〜5度と面談は続き、上司はこう言い始める。「残るなら、これから会社にどう貢献していくのか答えろ」、「来年にPBC『1』(最大貢献度、5段階の最高評価)をとる方法を考えろ」などと無理難題を押し付けるようになる。

 こうして退職強要を断れば断るほど、さらに強硬に退職を強いられ、やむなく退職する意志を固めた社員が続出した。辞めると言った社員に対して会社側は「自己都合退職届」を提出させた。さらに、退職の取り消しや撤回を防ぐため、以下の「確認書」まで書かせた。

「この退職願の提出が自主的に行われたものであり、かつ、取り下げ・撤回不可能であることを、本書面により確認致します。また、私は退職について、一切異議を唱えません」

 こうして退職強要のクビ斬りプログラムは、当初の締切り日の08年12月19日より10日以上も早い同月7日に締め切られた。会社側が最初に出した号令から、わずが2カ月弱の出来事だった。原告たちが加盟する労働組合JMIU日本アイビーエム支部によると、この間、推定約1500人もの正社員の首が斬られたという。

●裁判による“合法”判断で、加速するIBMの首切り

 原告たちは09年、会社に対し、それぞれ「違法な退職強要による精神的損害」として300万円、「弁護士費用」として30万円を請求する訴訟を東京地裁に起こした。

 一審判決は、11年も押し迫った12月28日にあり、東京地裁民事19部の渡邉和義裁判長は、日本IBMの退職強要の手口を合法と判断し、原告の請求をいずれも棄却した。

 これに対し原告側は即控訴。その控訴審判決が今年10月31日、東京高裁第1民事部であったが、地裁判決を踏襲する形で、控訴は棄却された。原告たちは「到底納得できるものではない」として、上告した。

 この退職強要事件の後、日本IBMは、さらに強硬的になり、退職強要の過程すら飛ばして、即解雇という乱暴な首斬りを断行し始めている。これにより解雇された組合員たちによる訴訟は現在、東京地裁で係争中である。

 日本IBMで吹き荒れる正社員斬りは、決して他人事ではない。裁判の行方に注目したい。
(佐々木奎一)

■おすすめ記事
大阪市職員「橋下市長は認めるが、維新の会議員には敵対心のみ」
盗撮で書類送検のIBM元社長はブラック企業化の張本人
同性愛は6兆円市場?IBMも積極的にLGBT採用のワケ
マック既存店売上減が映す、消費者の“食”への欲望低下
シャープも追随? NECの大量リストラに立ち込める暗雲

最終更新:2012/12/04 08:05
ページ上部へ戻る

配給映画